名画座の灯、消さない 飯田橋「ギンレイホール」がコロナ禍で経営難 ネットで資金募る 山田洋次監督も支援

2020年7月8日 14時00分

クラウドファンディングで支援を募集しているギンレイホール=新宿区で

 映画ファンに長年愛されてきた東京・飯田橋の名画座「ギンレイホール」が、新型コロナウイルスの影響で厳しい経営を余儀なくされている。約2カ月ぶりに先月営業を再開したが、感染予防で座席数や上映回数が減って収入が減少。映画の灯火ともしびを守るため、ネットで資金を募るクラウドファンディングを始めた。「男はつらいよ」シリーズで知られる山田洋次監督(88)も「大切な場所」と支援を呼びかける。(砂上麻子)

◆新作「キネマの神様」のモデル


 「久しぶりに映画を見られるのでうれしい」。6月下旬、約3カ月ぶりに同館を訪れた世田谷区の女性会社員(57)は笑顔を見せた。昨年11月末、会費を払えば年間何回でも鑑賞できる会員になった。「利用客のマナーも良く落ち着いて映画を見られる。ここがなくなると困ります」と話す。
 1974年に開館、邦画や洋画の往年の名作を中心に上映し、年間約15万人が訪れる。今では少なくなった、2作品を続けて鑑賞できる「2本立て」でも知られる。「映画の神様」が時代を超えて、映画好きの家族にもたらす奇跡を描く山田監督の新作「キネマの神様」のモデルでもある。
 新型コロナにより状況は一変した。今年2、3月の売り上げは前年の半分になり、政府の緊急事態宣言発令後の4月8日から休館。家賃や機器など経費はそのままで、収入はゼロになった。約3000万円の損失が重くのしかかっている。

感染拡大防止のため座席の間隔を空けている館内

◆山田監督「コロナにめげず頑張って」


 営業を6月6日から再開したが、2席ごとに間隔を空け客席を198席から約4割の79席に限定。座席や手すりの消毒のため休憩時間も延長し、上映回数も減らした。再開後、売り上げは通常の3割程度にとどまる。
 国の給付金や映画監督らが立ち上げたクラウドファンディング「ミニシアター・エイド基金」から支援金も分配されたが、コロナ収束までには長期化が予想される。支配人の久保田芳未よしみさん(59)は「名画座文化を未来へつなぐため」と、独自のクラウドファンディングを始め、山田監督は「長い間、神楽坂を仕事場にしていたから、ぼくにとってギンレイホールは休息と研究が両立する素敵すてきな場所だった。コロナ騒ぎにめげずに頑張ってほしい」とメッセージを寄せた。

「映画文化を守りたい」とクラウドファンディングを呼びかける久保田支配人

 当面の運転資金を確保するための目標1000万円は開始4日で達成。支援金を直接、映画館に持参するファンもいた。「こんなに多くの人に愛されていたんだ」と感謝する久保田さんは、「映画はジャンルや規模など多様性に富んでいる。劇場もシネコン以外があってもいい。映画の多様性として名画座を残していきたい」と決意を語った。
 クラウドファンディングは31日まで受け付け中。「MOTIONGALLERY ギンレイホール」で検索する。

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