<環境視点>プラごみ削減に一石 食べられる器広がる

2020年7月9日 07時07分

食べられる器に入ったイチゴオリ(えびすやフルーツ提供)

 プラスチックごみ削減が求められる中、「食べられる器」の開発や利用が広がりつつある。新型コロナウイルスの影響で自宅で過ごす人が増える中、家庭で楽しむアイテムとしても人気で、食事をしながら、家族で問題を考えるきっかけにもできそうだ。 (長田真由美)
 浜松市のえびすやフルーツにあるカフェ「えびすや+(プラス)」は昨年五月から、冷凍イチゴを削った看板メニュー「イチゴオリ」の器に、ジャガイモのでんぷんやタロイモなどで作った「イートレイ」を使う。

◆味や使い方さまざまに

 縦約十二センチ、横約十八センチ、高さ三センチの楕円(だえん)形。イチゴオリを食べた後にかじると、甘さの中に少し塩気が残り、舌が休まる。笠原裕介社長(45)は、「おいしく食べ、気付くとエコというのが肩肘張らずいい」。
 アイスクリームのコーンやもなかの皮を作る丸繁製菓(愛知県碧南市)が製造。でんぷんと水が主原料で、用途や味に合わせトウモロコシ、エビなどの粉をまぜ、焼き上げる。耐水性があり、かき氷や焼きそば、パフェなどさまざまな料理をのせられる。
 タマネギ味はカレーライスやフライドポテトに、紫イモ味は和菓子に合うといい、業務用なら独自の味の注文にも対応。榊原勝彦専務(42)は、「テークアウトにもぴったり」。一般でも通販で買え、楕円形の容器は、八枚入りで六百四十八円から。
 十年前に見たご当地グルメイベントで大量のプラスチック容器が捨てられているのに驚き、商品化した。

◆外出自粛で売り上げ増

 二〇一一年から販売を始め、環境意識の高まりで昨年の売り上げは開始当初の五倍に。外出自粛の中、自宅で過ごすアイテムとして注目を浴び、今年は昨年の倍の売り上げを見込む。健康や美容面も考え、食物繊維やコラーゲンなども加えた新たな製品を開発中という。
 弁当のおかず用のプラスチック製フィルムカップなどを作る「木村アルミ箔(はく)」(大阪市)は〇七年からのりでできた「海苔(のり)のうつわ」を販売(二十四個入り、七百五十六円)する。
 直径三・五センチ、高さ二センチの一口サイズで、木村裕一社長(69)はホームパーティーなどでの使用を推奨。手まりずしやたこ焼き、大福などの和菓子にも合うという。おぼろ昆布やかつお節の器もあり、外出自粛となって以降、問い合わせが急増。今年の売り上げはすでに昨年の一・五倍という。

手まりずしがのった海苔のうつわ(木村アルミ箔提供)

 一般社団法人「プラスチック循環利用協会」(東京)の調べによると、一八年に国内から排出されたプラスチックごみは八百九十一万トン。国連環境計画が同年に発表した報告書によると、一人当たりの排出量は米国に次いで二番目に多い。
 これらを背景に環境省は昨年五月、「プラスチック資源循環戦略」を策定。戦略に基づき、一日からプラスチック製レジ袋が有料化された。使い捨て食器など他の製品への対応について同省の担当者は「具体的な削減策を検討中」と話す。
 一方、欧州連合(EU)は二一年までに使い捨て食器やストローなどの原則禁止に合意。フランスは一月から使い捨ての皿やコップの使用を禁止している。

◆長続きする行動を生む

 中部大の細田衛士教授(67)=環境経済学=は食べられる器について、「環境問題への啓発に有効」としつつ、「日本ではエコというだけでは広がりにくい」と指摘。「実際に使われてこそ意味がある。こうした食器を使うことが、環境への配慮だけでなく、健康につながったり、おしゃれに見えたりと複数の要素が重なると、消費者のライフスタイルが変わり、長続きする行動を生む」と話す。 

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