<コロナと生きる@いばらき>「県北ジオパーク」認定取り消しから2年半 再申請にも影落とす

2020年7月9日 07時43分

2018年にひたちなか市で開催された「ジオツアー」(茨城県北ジオパーク推進協議会提供)

 貴重な地質や地形の保護を目的とした日本ジオパークの認定が全国で初めて取り消された県北地域が対象の「茨城県北ジオパーク」を巡り、再認定に向けた準備が新型コロナウイルスの影響で滞っている。認定取り消しから二年半。活動を主導する推進協議会(会長・太田寛行茨城大学長)は二〇二一年の再認定を目指すが、汚名返上にもコロナ禍が影を落とす。 (鈴木学)
 「三月初めごろからコロナの影響で会議や打ち合わせ、イベントなどの活動がストップしている。来春の再申請を目標に進めていただけに痛かった」
 推進協の大久保政博事務局長はそう話し、悔しさをにじませる。
 県北ジオパークは、珍しい地質や地形が見られる「ジオサイト」が十五カ所ある。名瀑(めいばく)の袋田の滝(大子町)や景勝地・五浦海岸(北茨城市)のほか、五億年前の地層や岩石がみられる日立ジオサイト(日立市)、日本が大陸から切り離された時に大規模に活動したと考えられる「棚倉断層」(常陸太田市)などで構成される。
 一一年に日本ジオパークの認定を受けた。一五年に、認定主体の日本ジオパーク委員会の四年に一度の審査で、運営体制の脆弱(ぜいじゃく)さや関係機関の連携不足などを指摘され、二年後までの改善を求められる条件付き再認定になった。
 推進協は、構成自治体を七から十に増やすなどして運営の強化に努めたが、ジオパーク委は課題解決ができていないと判断、一七年十二月に認定取り消しが発表された。
 それに対し一八年一月、推進協は「ジオパークの価値が、よそより低いということではない」として、再び認定を目指すことを決めた。
 県北ジオパークは茨城大が牽引(けんいん)してきたが、課題だった自治体との連携を強化するため、事務局に市町村職員に名を連ねてもらい、テレビ会議で方針や情報を共有し、専門的見地からアドバイスする専門員の雇用も計画していた。
 また、審査で指摘されていた基本計画の策定、ジオパークの魅力を分かりやすく伝える「ジオストーリー」の改善などにも取り組むとしていた。
 そこで起きたのが、新型コロナウイルスの感染拡大だった。コロナ対策優先の中で、市町村との連携促進は困難な状況。追加の財政支援も難しいとみられ、専門員雇用の見通しは立っていない。総会が開けず、基本計画の策定にも至っていない。
 今年の日本ジオパーク全国大会は一年延期になったが、合わせて開かれていた事前相談会は開催の見通しだ。相談会は、準備状況などの確認がある再申請の重要なステップになる。
 推進協は七月から打ち合わせや会議を再開するが、どこまで準備が進むかは未知数。二一年春に再申請し、その年の内に再認定を勝ち取る道のりは険しい。
 大久保事務局長は「人的、資金的、スケジュール的にも厳しい。感染症対策も審査項目に追加される見通しで、対応しなければならない。やらなければならないことが山積している」と話している。
<ジオパーク> 「大地の公園」の意味で、貴重な地形や地層が残されている地域が認定対象。日本のジオパークは4月現在、43カ所で、うち熊本県「阿蘇」や静岡県「伊豆半島」など9カ所は国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界ジオパーク認定。認定されると、ツアーを通じた観光振興につながるなどのメリットがある。茨城県北ジオパークの認定取り消しで、県内では「筑波山地域」のみとなった。

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