「ザ・ニュースペーパー」 福本ヒデ 激動の上半期を振り返って

2020年7月9日 08時17分

「アベ総理」こと「ザ・ニュースペーパー」の福本ヒデ=東京都千代田区で

 二〇二〇年もあっという間に折り返し。日産自動車前会長ゴーン被告の国外逃亡から、英国の欧州連合(EU)離脱、そして東京都知事選…と、政治や社会を見渡すと、重大事案がてんこ盛り。そして何といっても新型コロナウイルスの感染拡大。本来大忙しのはずの社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」もコロナ禍で公演中止が続く。そこで本日は「アベ総理」を演じる福本ヒデ(48)が登場、「笑えば免疫力が高まります」と激動の上半期の説明責任を果たす!? (立尾良二)

◆都知事選 国民の皆さまも組織票の怖さを…

 まずは五日の小池百合子都知事再選について、安倍晋三首相の声色としぐさで語る。
 「まあ、正直、鼻につくなと。そりゃ当選しなきゃ困る、二階さん(自民党幹事長)が応援してたしね。自民党は候補を立てずに自主投票でしたが、自民党の自主投票ほど忖度(そんたく)の塊はありません。いわば『小池に投票しろよ』という意味です。これ、絶対に強制ですから、でないと三百六十六万票も取れるわけがない。今回、国民の皆さまも組織票の恐ろしさを感じたでしょう。選挙とは、あなたの一票、小さな声が響くと思ったら大間違い。組織票がすべてです」
 小池都知事と二階幹事長は、政界再編を主導した小沢一郎衆院議員に付いたり離れたり、また新進党から保守党、自民党へと一緒に渡り歩いてきたと指摘。「仲がいいですから。へへへ、都知事選の結果は衆院解散のタイミングの参考になる。コロナ感染者が三けたも出ているのに現職が勝った。うん、逆風にならなかった。来年の任期満了まで解散しないと、勝負できない総理と言われるしね」
 福本に声を戻し、小池都知事について「コロナ対策では政策よりも、ロックダウンやアラート、クラスター、密ですなど言葉の発信力、アピール力がすごかった。これに石破茂さん(元自民党幹事長)の政策力があればね。二階さんは石破さんを期待の星と言っている。都知事を続けるとは思えない小池さんと石破さん、二階さんが組めば面白いかも」と読み、ニセ総理の顔でぞっとしてみせる。

2019年に催された「ザ・ニュースペーパー」公演の一場面=東京・銀座の博品館劇場で

◆桜、モリカケ、定年延長… うやむやにするの、特技です

 一月、ゴーン被告の逃亡で幕を開けた二〇年。「もちろん舞台もまだあったのでネタにしました。幕が上がると、音響や照明の大きなケースがある。そのふたが開いてニセのゴーン登場。大受けでした」。続いて小泉進次郎環境相の育児休暇取得。「彼も大臣になると人気がシュルシュルと落ちていくのを舞台で感じました。ニセ菅官房長官も『令和』の色紙をかざすだけで笑いをとったのに、もうだめです」。ザ・ニュースペーパーの政治家ネタは実物の人気バロメーターだ。英国のEU離脱は「するする詐欺みたいでしたね」。
 そして、コロナ感染で世界が一色に染まった。国の対策を「安倍さんの最大の失敗は、国民に安心感を与えられなかったこと。マスク二枚の全戸配布は二百億円も予算を読み違えた(当初四百六十六億円)。持続化給付金も(電通などによる)裏の仕組みで委託費の中抜きをした」とバッサリ。
 何かと話題となったアベノマスクについて「小さすぎて、ストレスがたまっている時に笑いのネタにはなった。『あれ、恥ずかしいな』と言いながら、いざ届くと『ついにうちにも来たな。どう、ちっちゃい?』『あはは、お父さんが着けたら、ちっちゃいよ』『へへ、母さん、写真撮ってよ』みたいな。布製で感染防止に役立たないけれど、小顔診断の材料にはなる。しかし各家庭が笑って盛り上がるのに、予算二百六十億円は高いか安いか」。
 いま、東京都は経済優先にかじを切ったが「あれ? 外出自粛していた時と同じくらい感染者が出ているのに、普通の暮らしをしていいのかなと不思議です。真相や評価はこれからでしょう」と冷静に見ている。
 安倍政権は、決められなかった民主党政権を反面教師に、特定秘密保護法や安保法制などをどんどん成立させてきた。「桜を見る会も森友・加計問題も、黒川検事長の任期延長問題も説明責任を果たさなかった。うやむやにして説明しないのが安倍さんの特技で、国民が慣れてしまった。次の総理はちょっとだけ具体的に説明すれば人気が上がるので楽ですよ」と笑う。
 秋には米大統領選がある。再びアベ総理の声色で「トランプさんの支持率が下がっているが、彼がいなくなったら私の存在価値もなくなるんです」とおびえる。今や憲法改正を言わなくなったアベ総理。「ええ、私、引っ込めるのはうまいんです。行けそうな時は行きますけど、一億総活躍社会とか次々にキャッチフレーズを出しましたがはやらず、残ったのはアベノマスクだけです。将来的に教科書に載るのはそれだけでしょうか」  
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<ザ・ニュースペーパー> 1988年結成のコント集団。メンバーは10人。国内外の政治や経済、社会、事件、芸能ニュースを笑いに変える風刺ネタが得意。歴代首相の形態模写をメンバーが分担し演じている。笑いの中にニュースの本質が出ることもしばしば。全国を公演して回り、夏と冬には東京・銀座博品館劇場で定期公演(今夏は中止)。寄席やライブハウスにも出演する。
<福本ヒデ> 1971年、広島県生まれ。アベ、ノダ、ハトヤマ、アソウの4代首相やイシバ氏を担当。美術の趣味がこうじて名画をパロディーで描き、個展開催や作品集出版も。近作はダビンチの「最後の晩餐(ばんさん)」をもじり、感染防止のソーシャルディスタンス(社会的距離)で12人の使徒を4人に減らした「最近の晩餐」<1>、さらにリモート食事会「もっと最近の晩餐」<2>、ムンクの「叫び」がモチーフの「文句の叫び2020マスクがない!」<3>など。

<1>「最近の晩餐」

<2>「もっと最近の晩餐」

<3>「文句の叫び2020マスクがない!」

<今後の予定> 9月19日午後2時と同6時、東京都千代田区の「日経ホール」で公演。問い合わせは日経公演事務局=(電)03・5227・4227▽近日中にAmazonプライムビデオで配信限定番組「ザ・ニュースペーパー2020〜家で観(み)る新聞 号外編〜」をレンタルスタート▽YouTubeで風刺パロディー画「福本ヒデ美術館」を配信中。

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