今年はスカイツリーが「花火」に 隅田川花火大会中止で 新型コロナ退散願い11日から

2020年7月9日 13時50分

東京スカイツリーを背景に大輪を咲かせた2019年7月の隅田川花火大会(多重露光)。大会が中止となった今年は、スカイツリーが花火をイメージしたライトアップをする=東京都台東区で

 東京の下町の夏を彩る隅田川花火大会は日本最古の花火大会とされ、疫病退散祈願のため始まったとも伝わる。今年は新型コロナウイルスの影響で中止となり、「コロナ退散」の願いはかけられない。主役が不在ならばと、花火大会の名脇役を担ってきた東京スカイツリー(東京都墨田区)が、花火が打ち上げられる予定だった11日夜から特別なライトアップを始め、粋な演出で盛り上げる。(加藤健太)

江戸時代に隅田川で花火が打ち上げられた様子を描いた「名所江戸百景 両国花火」=国立国会図書館デジタルコレクションから

◆ルーツは慰霊と悪病退散

 隅田川花火大会の始まりは諸説あるが、実行委員会によると、江戸時代中期の1732年、享保の大飢饉が起きて疫病も流行した。8代将軍徳川吉宗は翌年、犠牲者の慰霊と悪病退散を祈る神事を行い、このとき花火を打ち上げたのがルーツとされる。
 近年、会場では身動きが取れないほどのにぎわいになる。新型コロナ対策で緊急事態宣言が出された直後の今年4月、密集は避けられないとして中止が発表された。荒天のため大会途中で打ち切るケースはあったが、開催前の中止決定は、隅田川花火大会の名称になった1978年以降では初めてだった。
 地元の台東、墨田両区などでつくる実行委の担当者は「ルーツにあやかってコロナを振り払いたかった」と残念がる。

◆特別ライトアップで大輪の花を

 「花火がない夏になってしまう。雰囲気だけでも味わってもらいたい」。そう考えた東京スカイツリーの運営会社は、打ち上げ花火をイメージした特別ライトアップを急きょ企画。今年からツリーの照明を増やして躍動感のある演出ができるようになっており、ツリーのふもとから花火が打ち上がり大輪の花が咲くような様子を、さまざまな色の光で表現することにした。
 スカイツリーが2012年に完成した後、浴衣姿の観客は花火とツリーの共演を楽しんできた。運営会社の担当者は「地域を盛り上げるという意味では隅田川花火大会はいわば大先輩。何とか力になりたかった。来年こそ花火が楽しめることを願ってライトアップしたい」と話した。
 特別ライトアップは花火打ち上げ時刻に合わせて11日午後7時に初めてお披露目される。その後、8月31日まで午後7時~8時半に毎日点灯する。

東京スカイツリーを背景に大輪を咲かせた2019年7月の隅田川花火大会(多重露光)=東京都台東区で

◆秋開催の花火大会は?

 今夏に開催を予定していた関東の花火大会はほとんどが中止を決めている。秋に延期した大会もあり、主催者らは決行か中止かを判断する時期を迎えている。
 千葉県市川市と同時開催する東京都江戸川区の花火大会は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて当初の5月から10月に延期を決めた。区の関係者は「できる限り、やりたい。8月上旬までに判断する」と語った。
 昨年70万人が訪れた葛飾花火大会(葛飾区)も10月に開催を予定する。実行委員会のメンバーは「会場でのソーシャルディスタンスをどう確保するか。7月中に方針を示したい」と話した。

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