トランプ氏、学校再開へ圧力 1日の感染者6万人超でも「反対すれば予算削減」

2020年7月10日 06時00分
【ワシントン=金杉貴雄】米国で新型コロナウイルスの感染拡大で閉鎖が続く学校に対し、トランプ大統領が完全再開させるよう圧力を強めている。再開に応じない学校への補助金削減を示唆し、米疾病対策センター(CDC)の再開指針を「厳しすぎる」と批判。CDCは指針改定を表明した。知事らは反発しているが、経済再生を急ぐトランプ氏は大統領選の争点にする構えだ。
 米紙ワシントン・ポストによると、米国で8日、1日の新規感染者が6万人超と過去最多を更新した。
 トランプ氏は8日、ツイッターで「民主党は大統領選前に学校を再開すると不利になると考えているが、大事なのは子供と家族だ。再開しないなら予算を削減する」と主張。全米の学校を夏以降の新学期から、オンラインではなく対面授業で再開するよう求めた。
 その上でCDCの指針が「厳しすぎる。実行困難だ」と批判した。ペンス副大統領は直後に記者会見し、CDCが来週、指針を改定すると表明。同席のレッドフィールドCDC所長は「指針は授業を再開するためのもので、学校閉鎖継続の論拠に用いられるものではない」と釈明した。CDCは5月、高校以下の学校再開では教室の席を約2メートル離し分散登校するなどの指針を示していた。
 トランプ政権は学校再開に前のめりだ。デボス教育長官は8日に「誤った自治体の例」として、登校なしでオンラインのみか週2日登校のいずれか選択制を決めた南部バージニア州フェアファクス郡を挙げ「再開かどうかではなく、どう再開させるかが重要だ」と完全再開を求めた。
 これに対し、ニューヨーク州のクオモ知事は8日、CDCの指針を批判したトランプ氏を「専門家よりも生徒の健康を守るすべを分かっているのか。子どもの安全を軽視するのか」と非難。学校再開について8月初旬に決定するとした。ニューヨーク市は同日、分散登校と自宅学習の組み合わせで9月からの学校再開を目指す計画を発表した。
 学校再開に関しては、世論調査でも賛否が拮抗している。精神面での子供の健康不安やオンライン学習の不平等さのため登校を望む声がある一方、感染や無症状での感染拡大への懸念、リスクにさらされる学校関係者の反発も根強い。
 トランプ氏が学校再開を急ぐのは、4カ月後の大統領選前に保護者を職場に戻し、経済を少しでも再生させたい思惑があるためだ。大学にも完全再開を求め、新学期から全てオンラインに移行すると決めたハーバード大を「ばかげている」と非難。政権は6日、オンライン授業のみを履修する留学生に、新学期から滞在を認めない新規則を公表した。ハーバード大とマサチューセッツ工科大(MIT)は8日、新規則の一時差し止めの訴訟を起こした。

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