コロナで見守りに「空白」 不審者対策 マスクも壁に

2020年7月10日 07時27分
 新型コロナの影響による休校が全国で明け、一カ月余が過ぎた。子どもたちだけで登下校したり、外遊びをしたりする機会が増えると、彼らを狙う犯罪が心配だ。感染防止で地域の交わりが薄れているほか、多くの人がマスクを着用していて相手が誰かを子どもが判別しにくいといったコロナ禍特有の問題点も。安全を守るには、どこに気をつければいいのか。専門家に聞いた。 (河郷丈史)
 感染状況によって臨時で休校になったり授業が短縮されたり…。学校再開後も登下校や外遊びの時間帯にはばらつきがある。子ども向けの防犯教室の講師を務める安全インストラクターの武田信彦さん(43)は「地域の見守りの目が届かない『空白』の時間が生まれやすくなっている」と話す。
 いざというとき、子どもが大人に迷わず助けを求めるには、普段からの地域の結びつきが大切。だが、今は多くの人が感染拡大を防ごうとマスクを着け、会話も控えている。「子どもは心の距離を感じ、『助けて』と言いづらい」。年度初めの休校で警察などによる防犯教室も開けず、初めて自分で登下校をする小学一年生が危険を学ぶ機会がなかったことも気掛かりだ。
 家庭や地域はどう対応すべきか。保護者は、自分の子どもが登校するとき、玄関先に出て見送るだけでも効果的だ。見守る大人の存在は「空白」を埋めるだけでなく、周囲へのアピールとなって犯罪抑止に結びつく。コロナの影響もあって在宅勤務なら、仕事の合間などに可能な範囲で外に出ることも役に立つ。
 「密」を避けるため住民が団体で巡回するのは難しくなっているが、一人一人が買い物や散歩時などに見守ることはできる。その際、普段のパトロールで使う腕章などを着ければ、なおいい。「おはよう」「さようなら」といったあいさつは見守っていることを示す上でいいが、マスク着用中は要注意。幼児心理学が専門で三重大教授の富田昌平さん(46)によると、七、八歳までは顔全体が見えない人の感情を読み取るのが難しい。不安を与えないよう、優しい口調で接することが大切だ。
 子どもが身を守る大原則は「一人にならない」。家庭では、友人と一緒に行動したり店が多い道を選んで歩いたりするよう促そう。コロナを巡っては、言葉巧みに子どもを誘う手口も各地で報告されている。神戸市では、外で遊ぶ児童らに「検査をさせて」などと声を掛けて連れ去ろうとしたとして、六月に二十代の男が逮捕された。
 武田さんによると、あやしい人かどうかは「外見」でなく、後ろからつけてくるなどの「行動」で見極めるのがポイント。どのように誘われても「ついていかない」「車に乗らない」を徹底させたい。最近はコロナで営業時間などが変更になっている施設も多い。不安を感じたらすぐ逃げ込めるよう、公共施設や店舗、友人宅などなじみのある逃げ場を親子であらかじめ確認しておくことも肝心だ。

◆あやしい人が近づいたら、すぐに「逃げる」「叫ぶ」

 岐阜県警によると、中学生以下の子どもへの声掛けやつきまといなどの被害は休校中の三〜五月は十一件、十一件、二十四件で推移。だが、学校再開後の六月は六十八件と大幅に増えた。
 愛知県警は、二〇一九年に寄せられた十三歳未満の子どもへの千二百九件の不審者情報を分析。それによると、「逃げる」などの抵抗をした場合は、不審者の七割が何もせずに逃げたことが分かった。例えば不審者に遭遇し、体を触られるなどの被害が出た割合を見ると、逃げたり叫んだりした場合は3・1%。一方で不審者と会話したり、その場に立ち止まったりした場合は40・6%に達した。県警は「逃げるという行動が安全確保の要」と話す。
 発生時間は半数以上が下校時間帯に当たる午後三〜五時台に集中。一人でいるときが44・2%、複数の子どもといるときが39・8%と、子どもだけで行動しているときが多くを占めた。

関連キーワード

PR情報

ライフの最新ニュース

記事一覧