<新型コロナ>川越まつり、32年ぶり中止 「無観客ではできず」

2020年7月10日 07時36分

中止が決まった「川越まつり」。今年は名物の「曳(ひ)っかわせ」が見られない(2016年10月撮影)=川越市で

 川越まつり協賛会(事務局・川越市)は九日、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため十月十七、十八の両日に開催予定だった「川越まつり」の中止を発表した。中止は昭和天皇の闘病で全国に自粛ムードが広まった一九八八年以来、三十二年ぶり。 (中里宏)
 蔵造りの町並みを背景に絢爛(けんらん)豪華な山車が引き回される川越まつりは、小江戸・川越観光のハイライトとして人気で、例年約百万人が詰め掛ける。今年は十九台の山車が参加予定だったが中止に。川越氷川神社の神輿(みこし)が旧城下町を渡御する神幸祭も行わない。
 九日会見した川越市山車保有町内協議会会長で医師の井上誠一郎さん(83)は「新型コロナは特効薬かワクチンができない限り抑え切れない。まつりは無観客ではできず、残念でならない」と苦渋の思いを語った。
 同神社の山田禎久(よしひさ)宮司(51)は、神事である例大祭は招待者を減らして実施するとし「まつりの本質は祈り。今年も変わらず町の平穏を祈りたい」と述べた。
 全国の山車まつりを研究し、川越まつりの著書もある同市の谷沢勇さん(78)は「中止はやむを得ない。感染拡大が落ち着いたら、囃子(はやし)を一生懸命練習してきた子どもたちのために代替の発表の場を考えてほしい。中心市街地では商店が減り、少子高齢化が進んでいる。今回の中止を、川越まつりの将来を考える機会にするべきだ」と話した。

◆県内三大祭り 熊谷うちわ祭も 秩父夜祭は未定

 川越まつりは熊谷うちわ祭、秩父夜祭とともに県内三大祭りとされる。二つが中止、秩父夜祭が未定という状況になった。
 熊谷市街地で毎年7月20〜22日に開催され、約75万人(主催者発表)が訪れるうちわ祭は、神輿渡御や山車・屋台の巡行など行事の中止を既に発表。少数の関係者による八坂神社での神事のみ行うことを決めた。
 秩父夜祭は開催日が12月2、3日で、秩父市観光課の担当者は「まだ関係団体との打ち合わせをしておらず、開催するかは未定。8月以降に決まるのでは」と話す。「屋台」「笠鉾(かさぼこ)」と呼ばれる山車6基が日没後、ちょうちんやぼんぼりをともし曳行(えいこう)する祭事で、昨年は約24万4000人(同)の見物客があった。(渡部穣、出来田敬司)
<川越まつり> 1648年、川越藩主の松平信綱が川越氷川神社に祭礼道具を寄進し奨励したのが始まりとされ、江戸の「天下祭」の様式に発展。江戸時代の都市型祭礼を今に伝える「川越氷川祭の山車行事」として2016年、「秩父祭の屋台行事と神楽」とともに国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された。

関連キーワード

PR情報