<らくご最前線>鈴本演芸場 寄席を生配信

2020年7月10日 07時45分

7月末まで「鈴本演芸場チャンネル」で配信の林家正蔵の高座

 新型コロナの影響で四月から六月末まで休演した上野・鈴本演芸場が、六月の土日に無観客の寄席興行を行った。公演中止となった十五公演(三月下旬の土日の真打ち昇進披露興行を含む)を昼夜に分けてユーチューブ内の「鈴本演芸場チャンネル」で無料生配信したもので、七月末まではアーカイブ視聴も可能だ。
 一枚千円の「芸人応援チケット」もあり、売り上げは出演料に充てられる。任意で何枚でも購入できるこのチケットは営業再開後、入場料五百円引きの割引券として使える仕組みだ。
 六月十三日(土)昼の部として生配信されたのは、本来五月上旬の昼の部だった林家正蔵主任の番組。鈴々舎馬風(れいれいしゃばふう)、桂文楽、桃月庵白酒(とうげつあんはくしゅ)、三遊亭歌武蔵、春風亭一朝、入船亭扇遊、三遊亭円歌といった落語家の合間に翁家(おきなや)社中(太神楽(だいかぐら)曲芸)や笑組(えぐみ)(漫才)、伊藤夢葉(むよう)(奇術)、立花家橘之助(きつのすけ)(浮世節)などの色物が登場する進行は通常の寄席興行そのままだ。
 紙切りの林家二楽(にらく)に続いてトリの高座に上がった正蔵が演じたのは「蛸(たこ)坊主」。先代正蔵が上方から持ってきた演目だ。
 上野不忍池近くの料理屋で四人組の自称「高野山の修行僧」が因縁をつけて店をゆすり、居合わせた老僧に懲らしめられる。「外出自粛の中、配信で見られる方々を落語で上野へお連れしたい」という思いでこの話を選んだという正蔵は、メリハリが利いた演技で老僧の威厳を見事に表現した。
 この配信は二千人がリアルタイムで視聴した。東京の寄席の番組をそのまま全国に無料配信したのは快挙だ。これで初めて寄席の楽しさを知った人も多いはず。「芸人にとってもありがたい企画」と正蔵は言う。
 鈴本演芸場は、入場制限を設けながら七月一日から営業を再開している。 (広瀬和生=落語評論家)

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