陸自オスプレイの課題は 「木更津で継続は無理」「配備地以外も危険」

2020年7月11日 06時00分
 陸上自衛隊が導入した垂直離着陸輸送機オスプレイが10日、暫定配備地の木更津駐屯地(千葉県)に到着した。佐賀空港(佐賀県)への正式配備が見通せない中で最大17機が木更津を拠点に活動することになるが、課題は多い。陸自への導入を提唱した森本敏・元防衛相と、問題点を指摘し続けている沖縄国際大学の前泊まえどまり博盛教授に聞いた。 (山口哲人、荘加卓嗣)

◆森本敏元防衛相「効率よいが都市部で運用望ましくない」


  ―導入の発端は。
 「島しょ部での運用に便利なので、防衛相在任中の2012年夏ごろ、導入検討を指示した。当時は、日本が尖閣諸島を国有化した後、中国船が接続水域や領海に頻繁に入るようになっていた」
 「その年の12月に退任したが、1年以内に陸上幕僚監部の中で(離島防衛が任務の)水陸機動団とオスプレイ部隊を装備する構想が固まったのではないか。南西方面で事態が発生した場合、陸上部隊を艦艇で運ぶのは難しくて時間がかかる。オスプレイなら滑走路が小さかったり、滑走路自体がなかったりしても、速い速度で部隊を投入できる。他の航空機にはない、効率のよさが特色だ」
 ―地元には反対の声があるが。
 「航空機だから、事故や騒音を防ぎ、社会生活の安全を維持しながら部隊運用上、効率的な使い方ができるかという課題は残る。大都市部の上空を飛び回るのは基本的に望ましくない」
 「16年の沖縄県名護市沖への不時着や、17年オーストラリア沖で起きた着艦時の事故は、特殊な状況下で発生した人的ミス。実際には開発途上で起きたような構造的な事故はそれ以来起きておらず、オスプレイだけに事故が多発していたわけではない」
 ―改善点は。
 「(長崎県佐世保市に駐屯する)陸上部隊の近くに置くべきで、効率的に運用ができない木更津で運用を続けることは無理。あくまでも暫定的な配備であるべきだ。佐賀への正式配備に向けて努力しているが、本当にダメという場合には、九州で別の場所を探さなくてはいけない」

 もりもと・さとし 1941年、東京都生まれ、防衛大卒。航空自衛隊を経て外務省に入り安全保障を担当。2012年6~12月、民間人として初めて防衛相を務めた。拓殖大総長。


◆前泊博盛沖縄国際大教授「家が震え、テレビにも電波障害」


 ―自衛隊にオスプレイは必要か。
 「そもそも自衛隊がオスプレイを配備した理由がよく分からない。防衛省はヘリコプターよりもスピードが速く、航続距離も長いと強調するが、移動はほかの輸送機の方が速い。行動半径も沖縄と九州を飛べる程度で、長距離を飛ぶ場合は空中給油が必要となる」
 「空中給油は機体の構造上、非常に難しい。開発に携わった米国人技師は、空中給油機能は危険なので使用すべきではないと警告していた。実際、沖縄県名護市沖で2016年、米海兵隊のオスプレイが空中給油機から伸びる給油管と接触して墜落、大破した」
 ―安全性への懸念は。
 「防衛省は米側の発表をもとに、墜落のようなクラスAの事故率は高くないと強調しているが、機体の部品が落下するなど軽微とされるクラスB、クラスCに分類される事故は少なくない。小さな部品でも地上にいる人を直撃すれば命を奪いかねない。訓練や部隊運用で広範囲に飛び回るので、危険性は配備地だけにとどまらない」
 ―騒音や低周波の問題も指摘されている。
 「沖縄県にある私の自宅上空では宜野湾ぎのわん市の米軍普天間飛行場のオスプレイが夜10時すぎまで頻繁に飛び回り、そのたびに鉄筋コンクリート建ての家もガタガタと震える。テレビにも電波障害が生じ、録画した番組の肝心なシーンが映っていないことも多々ある」
 「機体価格だけではなく整備に必要な部品も高額。米国の圧力で買わされた結果、今後の維持管理費などを含めて4400億円の税金が米国に漏れ続けていくことになりかねない」

 まえどまり・ひろもり 1960年、沖縄県生まれ。明治大院修了。琉球新報の記者や論説委員長などを経て、現在は沖縄国際大経済学部教授。著書に「本当は憲法より大切な『日米地位協定入門』」など。

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