<11日に考えた>伊香保温泉旅館 おもてなし模索

2020年7月11日 07時46分

宿泊客が密接しないようかごの間隔を空けている大浴場の脱衣所=渋川市の美松館で

 新型コロナウイルスの感染拡大で宿泊客が激減し、打撃を受けている渋川市の伊香保温泉。全体の三、四月の宿泊者数は二〇一一年の東日本大震災直後よりも大幅に減少し、五月は統計を取り始めた一九八二年以降過去最低となった。感染予防対策でマスクの着用など新しい生活様式に移る中、営業を再開した温泉旅館では新たな「危機管理」を意識したおもてなし方法を模索している。(市川勘太郎)
 「お食事のご準備と片付けをさせていただく間、少し離れた場所でお待ちください。除菌スプレーの貸し出しをしています」。同市の「温(ぬく)もりとおもてなしの宿美松館」はチェックイン時のフロントで、部屋や館内の説明に加え感染予防策を宿泊客に説明する。
 部屋への案内は従業員がエレベーター前まで同行するが、密接を避けるため同乗しない。内線電話で連絡し部屋のある階に別の従業員が待機し、部屋まで案内する。お茶は出さず、宿泊客との接触を最低限にとどめる。食事も部屋まで運ぶが、「お品書き」のみで口頭で料理説明はしない。
 二階の男女大浴場の脱衣所は服を入れるかご数を減らし、置き場所は一つずつ間隔を空けた。三つの貸し切り露天風呂は全てを家族・団体向けに変更。入り口に入浴中か空室かを知らせる札を設置し、三十分を目安に家族などで一カ所に入浴できるようにした。
 同館の高橋秀樹社長(63)は「従業員の知識がおもてなしにつながるが、思うように接客できないのはもどかしい」と打ち明ける。東京で感染確認者数が増えていることに「今後の観光キャンペーンに期待しているが、第二波の不安もあり気掛かりだ」と複雑な心境を語った。
 渋川伊香保温泉観光協会と伊香保温泉旅館協同組合は、県の感染防止ガイドラインなどを基に独自の統一基準を作成。従業員が毎日検温する、チェックイン時に三密を避けるなどを定めた。また、感染が疑われる客がいた場合の対応マニュアルもまとめた。
 同協会によると、東日本大震災前の二月は約六万八千人が宿泊したが、震災が起きた三月は約四万一千人に減り、五月は約八万人に回復。一方、今年は三月の約五万七千人(前年同月比約57%)から、五月は約五千四百人(同約6%)と過去最低に落ち込んだ。

関連キーワード

PR情報

群馬の最新ニュース

記事一覧