持続化給付金事業入札の2者、1日で評価は難しい 上智大・楠茂樹教授<どう見る給付金の再委託・上>

2020年7月12日 06時00分

上智大の楠茂樹教授

 国の持続化給付金事業で、委託先の一般社団法人サービスデザイン推進協議会(サ協)は、その事業を電通にほぼ丸投げするなど不透明な実態が明らかとなった。身内への外注による予算の無駄遣いや、サ協への受注を決めた入札の不公平さなどの疑念について、各分野の有識者に聞く。 (聞き手・大島宏一郎)
 ―入札では参加した二者が事業内容を提案した翌日に経済産業省はサ協の落札を決めた。野党は「出来レース」と批判している。
 今回の入札は価格だけでなく、提案内容を審査する「総合評価方式」で行われた。業務体制など多くの項目を評価するには時間がかかり、1日で双方の優劣を決めるのは難しい。例えば、国土交通省は落札まで十分な時間をとっている。
 ―入札の前段階をみても、経産省は4月8日に入札を公示した後、5日後に応募を締め切っている。
 非常に窮屈な日程だ。幅広い事業者を対象にする一般競争入札は、公示後の説明会で(各業者に)同等の情報を提供するのが原則。経産省は入札への参加を二者だけに依頼しており、入札を検討していたかもしれないほかの事業者より有利になった可能性がある。
 ―梶山弘志経産相はサ協の受注を「適切な入札の結果だ」と説明している。
 大事なのは事業者間の競争条件が等しかったかどうかだ。今回は経産省の担当者5人が委託先を決定しており、事業規模を考慮すれば外部有識者の視点があっても良かった。突貫工事のような入札過程が不透明な要因を生んだ。経産省は納税者に説明を尽くすべきだ。
 ―経産省は入札制度を見直す検討会を始めた。
 災害時の復旧工事では随意契約を結ぶ事例は多い。給付金の趣旨は、新型コロナの影響を受けた事業者への迅速な支援。緊急時の事業の委託先の選び方を見直すべきだ。今回のような競争入札が選定方法として適切だったかどうか、有事の教訓を得るために議論の余地がある。
くすのき・しげき 上智大学法学部教授。政府が民間からモノやサービスを購入する「公共調達」の法制度を研究する。東京都の入札監視委員会で委員長を歴任。国交省や防衛省でも公共調達の監視業務に携わった。専門は独占禁止法。

持続化給付金事業の再委託 経済産業省中小企業庁は、一般社団法人サービスデザイン推進協議会(サ協)に対して、769億円で持続化給付金事業を委託。業務の流れは当初公表されておらず、実際はサ協が委託費の97%に当たる749億円で電通に再委託していた。電通からは、パソナやトランスコスモスなどサ協の設立に関与した企業に業務の外注が繰り返され、業務運営の不透明さだけでなく、予算の無駄の疑念が上がっている。事業に関係している企業は判明分だけで63社に上る。

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