市の対応、どこまで  台風19号から9カ月

2020年7月12日 07時16分

昨年の台風19号で浸水した住宅街=2019年10月13日、高津区で

 川崎市で昨年、多大な被害が出た台風19号の上陸から12日で9カ月になる。今月上旬、九州を猛烈な雨が襲い、河川の氾濫が相次ぐ光景に、多摩川の浸水被害の記憶も重なる。再び台風の季節が巡ってくる前に、行政の備えを聞いた。 (山本哲正)

◆多摩川からの逆流対策

 多摩川の排水管が逆流した浸水被害の再発を防ぐため、市は市内五カ所の水門の開閉操作を手動から電動に切り替えた。九日に開かれた市議会環境委員会では工事の完了が報告された。
 操作手順も見直した。当時の操作手順に沿って水門を閉めなかったことについて、市は、増水による影響は想定外で「妥当」とするが、一方で、逆流時には水門を「全閉」と手順を変更した。
 市の下水道部によると、新たな手順は今月一日から運用を始めている。排水管近くの低い地にあるマンホールの高さまで一メートルと水位が迫れば、仮に逆流か順流か確認できなくても水門を閉める慎重な対応にした。
 水門を閉めることでたまる雨水を川側に流す排水ポンプ車を新たに導入するなど短期対策により、たとえば中原区の武蔵小杉駅周辺など山王排水樋管(ひかん)周辺地域では19号クラスの場合は床上浸水が起きない、と市は計算している。
 ポンプ車を巡っては、運用マニュアル策定の遅れが問題になったが、既に完成した。ポンプ車の納入も予定通り今月中に進むといい、市の担当者は「内部訓練も月内に行い、スムーズに運用できるようにする」と語った。

◆避難所の受け入れ

避難所にペットを同行できることを知らせる案内も市のホームページで掲載している

 19号では多摩川に合流する直前の支流・平瀬川の氾濫で高津区の低地の住宅街が浸水。一階部分が水没したマンションの一階住人、六十代男性が死亡した。
 付近住民の話でも、近くの中学校へ避難を勧告する防災アナウンスは何度も流れたという。市の調査によると、亡くなった男性はおそらくペットと一緒に避難することにためらいがあったとみている。
 市では避難を阻害しないよう、風水害の場合、ペットはケージに入れてあれば、人の避難スペースには入れないが避難所に同行できるとしている。
 19号のときも市民から数十件問い合わせがあり、そう答えた。施設を管理する市教育委員会との調整も済ませたが、周知が十分とは言えない状況だった。市危機管理室は「他都市でペット同行を認めない例もあるようで、それを聞きかじって避難をためらう人がいた可能性もある」と振り返る。今月二日、市はホームページに「風水害時におけるペットの同行避難」の項目を新設。防災アナウンスに盛り込むことも含め、より周知できる方策を検討している。
 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、感染症をふまえた避難所運営指針もまとめた。

◆多摩川の護岸整備

 近年、一級河川の決壊が相次ぐ。国土交通省京浜河川事務所によると、19号では多摩川も「いつ決壊してもおかしくない状況だった」。多摩区では二百メートルにわたり護岸が浸食された。
 国と県、東京都、多摩川流域の自治体は今年一月に多摩川緊急治水対策プロジェクトをまとめ、対策を急ぐ。
 同事務所によると、多摩区の護岸復旧などの完了は次の年末年始を待つが、中原区、川崎区の護岸整備は今月末には終える予定。河道掘削にも今後着手していくという。

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