[じーっ] 愛知県南知多町 石黒廣美(46)

2020年7月12日 07時56分

◆わたしの絵本

イラスト・まここっと

<まここっと> 雑貨ブランドSWIMMERの元デザイナー。代表キャラクターは「りんご王子」。現在は独立してMa cocotte(マココット)ブランドを立ち上げ、展示会などで活躍中。メルヘンの中にレトロを盛り込んだタッチに定評。

◆300文字小説 川又千秋監修

[背中を押す] 愛知県東海市・自営手伝い・53歳 山盛直美

 「この言葉に背中を押されました」とか、「背中を押してくれる音楽」とか近頃よく耳にするが、私はこの表現を好ましく思わない。
 自分が踏み出すタイミングは自分で決めたいと思っているし、今後の人生に関わることならなおさらだ。
 後悔のないように第一歩は自己責任で踏み出したい。ましてや自分が人の背中を押すなど、とんでもない荒業である。
 「あの時、あなたからの言葉に背中を押されました」などと言われたら全否定をするだろう。そんな大それたことをした覚えはない、と。
 人の人生に関わることなど、ごめん被りたい。
 しかし、今だけは、その信念を潔く捨てたいと思う。
 誰か私の背中を押してくれないか。歯医者の自動ドアが開いたら。

<評> 自分の進むべき道は自分で選ぶ…余計なお世話や勝手な後押しは絶対にお断り…のはずでしたが、一枚の扉の前で、すっかり気持ちが萎(な)えてしまいました。ここは勇気を振り絞って、さあ、一歩前へ!

[ひなたぼっこ] 東京都足立区・主婦・40歳 小野史

 カラリと晴れた昼下がり、五歳の娘が粘土で恐竜をつくった。
 イルカをつくった。
 ヘビや蟻(あり)もいる。
 さっきまで、粘土板の上で輪になっていた。
 なのに、今見たら、いない。みんなで、どこかへ旅に出たのだろうか?
 夕方、洗濯物を取り込もうとして、焦った。ゆかいな仲間たちが、足もとにずらりと並んでいるのだ。
 あわや踏みつけそうになって、慌ててガリバーの足のようなスリッパを脇によけた。
 「どうしてここに?」と訊(たず)ねれば、「だって、ひなたぼっこしたいって言うんだもん」と、にっこり笑顔の娘。
 よくよく見れば、爽やかな風を受けて、どの顔も晴れ晴れと輝いている。
 娘といっしょにぺたりと座って、しばし未知なる冒険に思いを馳(は)せた。

<評> かわいい指先から生み出された、かわいい仲間たち。まるで、絵本から飛び出してきたような光景ですね。これからは、あちらこちら、家中を飛び回って、さまざまな物語を紡ぎ出してくれることでしょう。

◆「絵本」のアイデアも募集

 300文字小説とわたしの絵本用のストーリーを募集しています。掲載された方には図書カード3000円相当をお贈りします。奮ってご応募ください。
【300文字小説】自作オリジナルに限ります。句読点や記号を含む300文字以内で、タイトルを明記。掲載に際し手を加えることがあります。応募作品は返却しません。採用の場合おおむね3カ月以内に掲載します。
【わたしの絵本】日常のふとした瞬間をとらえたエッセーや創作したストーリーを300字程度にまとめてください。このアイデアを参考に、イラストレーターが6コマほどのオリジナル絵物語を創ります。
 著作権は弊社に帰属します。
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