新型コロナの検査法 精度や特徴を知ろう

2020年7月14日 07時27分
 首都圏などで再び感染が拡大しつつある新型コロナウイルス。感染の有無を調べる手段としてはPCR検査が広く知られているが、五月に利用が始まった抗原検査、さらに抗体検査という言葉もよく耳にするようになった。それぞれの検査は何を調べ、何を知ることが目的なのか。方法や特徴、課題を整理した。 (医療取材班)

●抗体検査 感染歴が分かる

 「抗体検査を受けられます」。インターネット上のそんな文言を手掛かりに、取材班の一人が出掛けたのは、名古屋市内の耳鼻咽喉科医院。風邪症状がないかを確認された後、看護師が指先に針を刺し、少量の血液を採取した。採った血を試薬につけ、待つこと約十分。結果は陰性だった。
 抗体とは、ウイルスなどを攻撃するために体内でつくられる物質だ。藤田医科大の斉藤邦明教授(病態制御解析学)によると、新型コロナの場合、抗体は感染後一〜二週間でできる。血液内の抗体の有無を調べれば、過去二週間に感染したかが分かる。陰性は「感染したことがない」という意味。保険が利かないため、一万円ほどを支払った。
 抗体検査の本来の用途は一定の地域での感染の広がりを見ること。記者が受けたのは、五月ごろから何種類もが市販されている簡易キットによる検査だ。特別な装置や試薬を使う検査もあり、厚生労働省は六月、それを基に、東京の陽性率は0・10%、大阪0・17%、宮城0・03%という結果を発表した。
 社内で感染が広がっていないことを客に示そうと、企業が社員に受けさせる例も多い。しかし、新型コロナは抗体の効き目がどれだけ持続するのか、抗体があれば再感染しないのかなどが分からない。さらに、簡易キットは開発途上で、斉藤教授は「現時点で検査を個人で受ける意味はあまりない」と指摘。厚労省によると十三日現在、有効性などを国が承認する検査方法もない。

●PCR検査 現在の感染判定

 一方、現在の感染の有無を調べるのが、医師が必要と判断すれば保険適用となるPCR検査と抗原検査だ。PCR検査は鼻やのどの粘液、唾液を採取。ウイルス特有の遺伝子配列を見つけ出して増やす。検体に含まれる遺伝子がわずかでも判定できるのが強みだ。ただ、陽性の人を見落とす可能性が三割あるとされる。
 病院や検査機関で実施されており、分析には専用の装置が必要で、結果が分かるには数時間から一日かかる。ただ、最近は一時間ほどで結果が出る方法も登場しており、二月に一日当たり三千八百件程度だった国内の検査能力は、七月十日時点で三万件超に伸びた。

●抗原検査 短い時間で結果

 粘液を採取し、PCR検査より短い時間で判定できるのが抗原検査だ。六月には判定まで三十分程度の簡易キットも登場。唾液を使うことも可能になった。最新の研究によると、ウイルスの量が多い発症二〜九日目ならPCR検査の結果と一致率が高いことが判明。この期間に限り、追加のPCR検査をすることなく確定診断ができるようになった。

記者の抗体検査結果とさまざまな簡易キット

 政府は同月中旬、感染状況が比較的落ち着いているベトナムなどを対象に、相互の行き来を段階的に再開する方針を表明。日本への入国者には陰性証明書の提出を求め、到着時はPCR検査も行う予定だ。同様の手続きを求める国は増えており、国同士の往来が進めば、渡航前にPCR検査や抗原検査を個人で受ける人は増える見込み。ただ、その場合の検査は自費で数万円と高額だ。斉藤教授は「どの検査でもなぜ受けるのか、本当に必要か。精度や意味を理解し、考えることが大切だ」と訴える。

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