バスツアーをどうぞ 港区 「おもてなし」ノンストップ

2020年7月14日 07時55分

自分が選んだ浴衣で着付け体験も

 浴衣姿で港区観光へGO! 今月四日、首都圏で暮らす外国人を招いた日本文化体験会とバスツアーが同区内で行われた。企画したのは、東京五輪・パラリンピックに向けて、ボランティア「民間外交大使ミナト」の養成講座を開いてきたNPO法人「ハート・コネクションズ」。五輪・パラは延期になったが「おもてなし」の歩みは止めない。
 集合場所は赤坂区民ホール。イラク、インドネシアなど十カ国の外国人と日本人約三十人が浴衣や甲冑(かっちゅう)姿に挑戦。舞台では着物と甲冑の講座も。そのまま浴衣姿で三台のバスに分かれて、ツアーに出発した。

◆英語でジョーク

 「皆さんこんにちは。楽しんでいますか」。民間大使一期生で、東京都交通局の都営地下鉄職員近藤優大(ゆうだい)さん(19)がバスの乗客に英語で語りかけた。続けて、豊川稲荷や虎ノ門ヒルズなどの名所やお勧めのレストランなどを歴史やジョークを交えて紹介。参加者も、お国自慢大会で盛り上がった。

浴衣姿の外国人をバスで案内する近藤優大さん(右)

 三種類の観光ルートは、近藤さんが中心となり仲間と練り上げた。同区のコミュニティーバス「ちぃばす」を貸し切り、東京タワーなどの名所旧跡を約一時間掛けて案内した。在日十年以上という米国人女性は白地に紺の花柄の浴衣姿で「コロナが心配だったが、初めて浴衣を着て名所巡りができ最高です」と笑顔を見せた。

◆20人が巣立つ

 「ハート・コネクションズ」の岩田恵子理事長(79)は長年留学生支援を行ってきた。二〇一五年、東京五輪で若者と一緒にボランティアをしたいと、養成講座を開設。「語学はもちろん日本文化、行政の仕組みや法律や防災知識などの知識こそが必要だ。心のつながる国際交流を目指したい」との信念で昨年末まで連続講座を開き、民間大使約二十人を育てた。
 一期生の近藤さんは中学生の時に「入塾」した。防災士やサービス介助士の資格も取得し、講師としても活躍。中学の同級生や先輩ら三人を養成講座に誘い、一緒に活動してきた。

◆ルートに苦心

 今回のツアーは、学んできたことの集大成。ルート作成を任された近藤さんは、「バス運転手の夢もあり大きなチャンスと思い引き受けたが、完成までに二十回は書き直した」と明かす。案内したい場所と、バスが通行しやすい場所の両立が難しく、実際に車を運転し修正を繰り返した。イベントの構成も、勉強や仕事の合間を縫って仲間と夜中まで準備してきた。
 ところが、目標にしていた五輪が、新型コロナウイルスの流行で延期に。ツアー開催も危ぶまれたが、緊急事態宣言解除後に、感染対策を徹底した上での開催を決めた。
 「五年間準備を頑張り抜いた若者たちに、何としても卒業舞台を用意したかった」と岩田理事長も、近藤さんらの背中を押した。
 感染対策のため、当初予定の二百人規模から大幅に縮小。近藤さん自身、「正直、開催してよいか相当悩んだ」というが、今は達成感を感じている。「バスを降りたお客さまから『最高だったよ』と喜んでもらえ肩の荷が下りた。仲間がいたからやり遂げられた。来年の五輪では仕事が優先になりボランティアができるか分からないが、もてなしの心を持ち続けたい」とすがすがしい表情をみせた。

車外の景色を楽しむ浴衣姿の参加者

「サムライに興味があったんだ」と甲冑体験を楽しむオランダ人男性=いずれも港区で

 文・市川千晴/写真・川上智世、市川千晴
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