コロナ感染疑いの生活保護男性、「区役所に言われ」バス乗り継いでPCR検査へ

2020年7月15日 06時00分
横浜市役所

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 横浜市から生活保護を受給している男性が4月下旬、新型コロナウイルスに感染した疑いがあると病院で診断された後、バスを乗り継いで別の病院にPCR検査を受けに行ったと話していることが分かった。診断した病院の関係者によると、男性は車を持っておらず、区の生活保護担当者に相談したが「公共交通機関を使って」と言われたと話したという。

◆区側は否定

 区は男性にどう伝えたかを明らかにしていないが、一般論として「検査は徒歩や自転車で行ってくださいと伝えている」として、公共交通機関を使うよう伝えた点は否定している。
 病院関係者によると、男性は4月末ごろに発熱し、自宅近くの医療機関で受診を断られたため、4キロ近く歩いて病院を訪れた。38度台後半の熱があり、コンピューター断層撮影で肺炎像が認められたため、病院の医師は新型コロナを疑い、PCR検査が必要と判断。検査できる病院を予約した。
 病院は、区の生活保護担当者に電話して男性の帰宅方法を相談したが「対応できない」と言われたため、病院職員が自宅に送り届けた。後日に病院職員が男性に確認すると、「歩くか公共交通機関を使って」と区の担当者に言われ、バスを乗り継いで検査を受けに行ったと話した。

◆結果は陰性

 PCR検査の結果は幸い、陰性だったが、病院関係者は「陽性だったら感染を広げていたかもしれない。そもそも熱があるのに公共交通機関を使えというのはおかしい」と憤る。
 区の生活保護担当の課長は取材に「検査を受けた受給者は何人かいるが、公共の乗り物を使うように指示したことはない」と話した。市は生活保護受給者の車保有を原則認めていない。

◆「柔軟な対応が必要」

 生活保護に詳しい太田伊早子いさこ弁護士(神奈川県弁護士会)は「発熱して肺炎の可能性がある人を徒歩や自転車で遠くまで行かせることは人権の観点から問題だ。行政は、生活保護利用者に車の所有を制限しているのだから、新型コロナというこれまで経験のない状況では、当事者に寄り添って柔軟な対応を検討すべきだった」と指摘した。

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