「Go To トラベル」に強まる疑問 閣議決定と矛盾? 地方も不安

2020年7月16日 06時00分
 国土交通省の観光支援事業「Go To トラベル」を22日から行う政府方針について、野党だけでなく、観光客回復への期待があった地方や医師会からも延期を求める声が急速に広がっている。政府は、同事業を感染拡大の収束後に実施すると閣議決定しており、首都圏での感染再拡大で、22日からの実施方針に疑問が強まっている。
 「コロナの拡大が収束したと判断したということか」。15日に行われた衆院予算委員会の閉会中審査で、国民民主党の馬淵澄夫氏は西村康稔経済再生担当相に問いただした。
 馬淵氏は、政府が4月7日に閣議決定した緊急経済対策に「Go To トラベル」を含むキャンペーンを「感染症の拡大が収束し、国民の不安が払拭された後」に実施すると記載されている点を指摘。首都圏で感染が再拡大する中での実施は閣議決定と整合していないと追及した。
 西村氏は「大きな流行は収束させたという判断をして緊急事態宣言を解除した」として、事業は予定通りに行う考えを示した。一方で「足元で感染が増えていることは十分理解している」とも説明。「収束」を打ち出すことはなかった。
 明確な答弁ができないのは、感染の現状の説明が曖昧なためだ。西村氏は緊急事態宣言を解除する際、再び宣言を発令する際の人口当たりの感染者数などの目安を示した。15日の予算委では、東京都の現状について「(目安を)上回ったり近い状況になっている」と認めつつ、「宣言を出すような大きな波には至っていない」と語った。
 政府は16日に新型コロナ感染症対策分科会を開き、事業実施のあり方について専門家の意見を聞く。
 各地では事業への期待と不安が交錯する。石川県観光連盟の坂林忠事務局長は「飲食店を中心に期待感は強い」としつつ、首都圏からの観光客による感染拡大に神経をとがらせる。JR金沢駅前のホテルの担当者は「市中感染が広がらないか不安だ」と漏らす。
 山形県の吉村美栄子知事は14日の記者会見で「この時期の全国一斉のスタートはいかがなものか」と指摘。日本医師会の中川俊男会長も15日の会見で「収束後にやるということだった。前倒しは好ましくない」と強調した。(井上峻輔、横山大輔、阿部竹虎)

関連キーワード

PR情報

政治の最新ニュース

記事一覧