事後では検証しきれない 入り口で制度設計を 有川博・日本大客員教授<どう見る給付金の再委託・下>

2020年7月16日 06時00分
有川博・日本大客員教授

有川博・日本大客員教授

 ―一般社団法人サービスデザイン推進協議会(サ協)から再委託を受けた電通や下請けが外注を重ね、事業費が必要以上に膨らむ疑念がある。
 「政府は『事業終了後に精算し、無駄なお金は返還させる』と説明するが、経済産業省は事業の体制を十分に把握していない。事後に公認会計士や会計検査院が事務の流れを検査するには相当なコストがかかり、全てを追いきれない懸念がある」

 持続化給付金事業の入札 経済産業省は競争入札によって、一般社団法人サービスデザイン推進協議会(サ協)を持続化給付金の事業者に決めた。評価は価格だけでなく、事業の提案内容も加味して選定する「総合評価方式」で行われた。サ協、競合他社ともに200ページ近くの提案書だったが、提出からわずか1日でサ協の落札が決定。同省が行った入札前の面会で、サ協との面会時間が他社の3倍だったことも入札の不公正さとして挙げられる。

 ―経産省が全体の体制を把握せずにサ協を委託先に選んだことをどう思うか。
 「金額だけでなく提案内容まで加味して判断する総合評価方式で、体制を確認せず応札額の高い方を選ぶことはありえない。サ協は応札時に法で義務付けられた決算公告をしておらず、評価の大きな要素である経営状態すら問われなかったことになる」
 ―電通は自社の人件費や広報費だけでなく、外注に出した645億円の10%を一般管理費として見積もり、その一部を利益とする。金額に関係なく外注費の10%を一律に管理費に算入できるルールが経産省にしかないのをどう見る。
 「一般管理費の妥当性は十分議論がなく、ルールが不明瞭だ。公共工事の分野では、実態を踏まえて契約額が高くなるほど管理費率を下げている。この例を参考に、実態に応じた管理費のガイドラインが必要だ」
 ―入札過程などを検証する経産省の検討会に求めることは。
 「サ協との契約では、入札前に特定の者に入札情報を示して働きかけており公平性を欠く。総合評価は価格以外の要素を人が評価し主観的になりやすいからこそ、透明性の確保が生命線だ。事後の精算に主体を置くのではなく、契約の入り口でしっかりした制度設計をするのが最も効率的だという観点で、見直してほしい」(聞き手・皆川剛)
 ありかわ・ひろし 日本大客員教授。元会計検査院局長。行政改革推進会議の歳出改革ワーキンググループ委員を約10年務め、各省庁の予算支出や公共契約の改善の進み具合を毎年ヒアリングしている。

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