<新型コロナ>都内23区 本紙アンケート 増える生活保護申請 支援現場、逼迫を懸念

2020年7月16日 07時06分
 新型コロナウイルスの影響で経済的に困窮する人が増える中、都内二十三区の生活保護申請の総件数が四、五月で、それぞれ前年より増えていることが本紙の調べで分かった。また、ケースワーカー(CW)一人当たりが受け持つ生活保護世帯は十九区で、国が目安とする八十世帯を超えており、支援現場の逼迫(ひっぱく)する状況が浮き彫りとなっている。 (中村真暁)

■先行きを危惧

 本紙は六月、二十三区にアンケートを行い、取材した。申請数は四、五月とも足立が最多。次いで新宿だった。
 二十三区の合計申請数は四月、前年比一・四倍となる二千百二十一件に達した。杉並を除く全区で前年を上回った。中央は三倍以上、渋谷は倍増した。板橋はコロナ絡みの申請が二、三月で計十六件だったのに対し、四月は四十九件。飲食店やタクシー業界、フリーランスなどからの相談が目立ったという。
 また、二十三区の合計申請数は五月、前年比一・〇二倍の千八百九十六件に。中野や台東、新宿など十一区で増えた。
 五月が前年比で減少した板橋の担当者は、住居確保給付金や特別定額給付金を報道で知り、申請が落ち着いた可能性があるとの見方を示しながらも先行きを危惧する。「貯金を切り崩して頑張っている人もいるだろうが、いつまでも続かないのでは」と心配する。
 生活保護の業務を担うのは各区の福祉事務所だ。社会福祉法では、二十三区のような特別区の福祉事務所でCW一人が受け持つ世帯数の目安(標準数)は八十世帯だが、四月一日時点で、千代田、練馬、港、目黒を除く十九区で八十世帯を超えていた。

■増える相談

 区側の相談業務も増えている。足立は「事務作業のための時間外業務が増えた」と明かす。コロナの感染防止にも努めなければならず、葛飾は「福祉事務所内で申請者との面接時間を短くし、訪問調査活動を緊急性の高いケースのみにしている」という。
 生活困窮者を支援する一般社団法人「つくろい東京ファンド」の稲葉剛代表理事は、福祉事務所の体制について「職員が不足していたところに、相談が集中している」と話す。
 同法人が同行した申請現場では「忙しくて対応できない」と言われるケースもあったという。細かな職歴など、申請に不要なはずの聞き取りに時間をかける自治体もあるとし「申請者、職員双方の負担を高めてしまう。見直すべきだ」としている。

■急増の可能性

 コロナの感染が拡大する中、江戸川は「現状は、住居確保給付金などで持ちこたえているが、景気の低迷が続けば申請が急増する可能性もある」とみる。
 申請が増えた場合、住居のない人を受け入れる施設の不足を懸念する福祉事務所担当者の声もあった。

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