箱根を永遠のリゾート地に 富士屋ホテル 改装オープン

2020年7月16日 07時16分

再オープンのテープカットをする関係者 

 1878(明治11)年の創業以来初めて耐震補強のため長期休館していた老舗リゾートホテル、富士屋ホテル(箱根町宮ノ下)が15日、改装オープンした。現存するリゾートホテルとしては国内最古の日光金谷ホテル(栃木県日光市)と並び、明治初期から訪日観光をけん引。新型コロナウイルスの逆風が吹く箱根で新たな歴史を刻む。(西岡聖雄)
 洋風ながら唐破風の玄関が印象的な本館を含む七施設が国登録有形文化財。本館は木造ながら関東大震災時、ガラス戸一枚割れなかった逸話を残す。

新婚旅行の三島由紀夫や家族旅行のジョン・レノンが宿泊した部屋

 ヘレン・ケラーやチャプリン、アインシュタイン、蔣介石ら著名人が宿泊。皇室とも縁が深く、昭和天皇は皇太子時代、別館の菊華荘(旧御用邸)へ避暑に来る度に、ホテルのゴルフコースで練習したという。
 二〇一八年春から始まった耐震工事は可能な限り外観を残し、内部の鉄筋などを補強した。現在は七〜八割を占める国内客からの要望で、箱根連山を眺望できる大浴場を新設した。
 全室が源泉掛け流しの客室は、主に水回りを改修した。客室の一部を統合してスイートルームに変え、百四十八室あった客室を百二十室に。明治の面影を残す西洋館の改修過程で元の壁がピンク色だったことも分かり、四部屋を当時のピンク色に復元した。

幻の設計図などが公開されたホテル・ミュージアム

 食堂天井画の原画や、実現しなかった幻の新築・建て替え計画の図面六種が見つかり、利用客が対象の「ホテル・ミュージアム」で公開している。
 ホテルの「フレンチトースト富士屋風」が大好物で、宿泊予約開始と同時に申し込んだ川崎市の会社役員土井道予(みちよ)さん(52)は「スタッフのしぐさ、お皿の置き方などすべてが洗練されている。朝食のフレンチトーストが楽しみ」と喜んでいた。
 勝俣伸社長(66)は「環境保全のためプラスチックのストローをやめるなどしてきたが、次の百年に向け、二酸化炭素(CO2)排出の削減などに一層取り組み、箱根を永遠に続く世界のリゾート地にしたい」と話した。

高さ6メートルの天井画が有名なメイン食堂。天井画は修復され、かつての輝きを取り戻した=いずれも箱根町で

新たに見つかり、ホテル・ミュージアムに展示された食堂天井画の原画

<富士屋ホテル> 旧老舗温泉旅館を買収してスタート。武家屋敷をルーツとする日光金谷ホテル(1873年創業)より5年遅い開業だが、本館完成は1891年で、日光金谷ホテルが本格的な西洋式ホテルを建設した1893年より2年早い。富士屋ホテルを創業した山口仙之助は私財を投じて町内の道路を整備。水力発電会社を設立して電力を地域へ供給するなど箱根の振興に尽力した。富士屋ホテルの3代目社長は日光金谷ホテル創業者の次男で、両ホテルの縁も深い。

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