生ごみ 堆肥にし削減 菜園で使い資源循環

2020年7月16日 07時18分
 新型コロナウイルスの影響で自炊する人が増える中、生ごみを減らす方法の一つとして、「段ボールコンポスト」が見直されている。段ボール箱を使った生ごみ処理容器で、微生物の力で生ごみを分解して堆肥に変える。できた堆肥で野菜などを育てれば、資源の循環にもつながる。推進する市民団体は「コロナ時代の新しい楽しみを」とPRする。 (河郷丈史)

◆ベランダOK

生ごみを微生物の力で分解する「段ボールコンポスト」=愛知県日進市で

 外出自粛で、家庭から出る可燃ごみが各地で増加。東京二十三区清掃一部事務組合によると、緊急事態宣言中の四、五月はそれぞれ前年比約8%と約10%増え、解除後の七月の第一週も約3%多い。生ごみが約四割を占めるとされ、国や自治体などが普段から削減を呼び掛けている。
 その方法の一つが段ボールコンポストだ。厚手の段ボール箱に、微生物のすみかになる基材を入れて作る。ホームページなどで推奨している名古屋市によると、段ボールは通気性が良く、発酵に必要な空気を通しやすい。臭いも少なく、スペースも取らないので、集合住宅のベランダなどでも取り組める。
 導入に補助金を出したり、できた堆肥を引き取ったりしている自治体もある。
 段ボールコンポストの講座を開くNPO法人「日進野菜塾」(名古屋市)の熊谷正道代表理事(70)によると、家庭のほとんどの生ごみは処理できる。
 同塾のコンポストは幅、奥行き、高さがいずれも三十三センチ前後。基材にはもみ殻をいぶして炭化させた「もみ殻くん炭」十リットルとヤシ殻のチップ「ココピート」十五リットルを使用。一日に五百〜八百グラムの生ごみを入れられ、一般的な四人家族分には十分対応できる。
 毎日段ボール箱を開け、前日に入れた生ごみをかき混ぜた後、真ん中に穴を掘り新たな生ごみを投入し、基材をかぶせる。分解中、内部の温度は二〇〜四〇度に上昇。「分解が進んでいるサイン」といい、箱の表面に触れるとほんのりと温かい。一箱で三〜四カ月間毎日入れられる。新たな生ごみを入れるのをやめた後、約三週間熟成させる。
 段ボール箱のサイズに応じて、基材の量や投入できるごみの量、期間も変わるので、注意が必要だ。

◆楽しんで継続

専用のバッグを使った「LFCコンポスト」(ローカルフードサイクリング提供)

 楽しむのが続けるこつといい、同塾では講座でコンポストの堆肥を使った寄せ植えも指導。プランターに使う場合、園芸用の水はけの良い赤玉土と腐葉土、堆肥を2:1:1でまぜる。サニーレタスやコマツナ、ミニトマトなどが育てやすく、初心者にお薦めだという。熊谷さんは「自分で作った堆肥で野菜を作るなど新しい楽しみを」と話す。
 手軽に始められるように、おしゃれなバッグを使ったコンポストも。福岡市の企業・ローカルフードサイクリングが一月に発売した「LFCコンポスト」は、虫の侵入を防ぐファスナー付きの専用バッグに紙袋と基材を入れたもの(一セット四千四十八円)。一日三百グラムの生ごみを一カ月半〜二カ月投入できる。
 外出自粛でごみの問題や家庭菜園に関心を持つ人が増え、すでに約四千セットを販売。不安や悩みはLINE(ライン)で相談することもできる。「家族で楽しめる」などと好評で、九割が初心者という。
 考案した同社の平由以子社長(53)は、段ボールコンポストに先駆的に取り組んできたNPO法人「循環生活研究所」(福岡市)元理事長で、ノウハウを凝縮。「環境のために、これならできるという人が増えているのでは」と話す。

◆Q & A

 Q 生ごみはどんなものを入れられる?
 A 野菜の切れ端や果物の皮、魚の骨、卵の殻など家庭から出る生ごみはほとんど。腐っていてもOK。廃油や炭水化物などは微生物の分解を促進するので効果的。貝殻はなかなか分解しないので入れない。
 Q 臭いは?
 A うまく分解できていれば、気になる嫌な臭いは出ない。水分が多すぎたり、魚の内臓を大量に入れたりすると、臭いが強くなることがある。ごみの周りをよくかき混ぜ、空気を送り込むと消える。
 Q 基材や段ボール箱はどこで手に入る?
 A 販売しているホームセンターや園芸店は少ない。普及活動をしているNPO法人や自治体などに問い合わせるといい。日進野菜塾のホームページ=「日進野菜塾」で検索=で、一部を紹介している。
 Q 管理のポイントは?
 A 生ごみは真ん中に入れ、その周りだけを混ぜるのが基本。箱を開けたら、前日に入れた生ごみと基材を真ん中の部分だけで混ぜ合わせ、再び真ん中に穴を掘り、新たな生ごみを入れる。混ぜすぎて生ごみが散らばると、乾燥して分解が進まなくなる。段ボール箱は雨が当たるのを避け、網目状の台などの上に載せ、風通しの良い場所に置く。
 Q 虫の発生を防ぐには?
 A 布などで箱の形に合わせたキャップを作って覆う。開ける際に虫の卵が産み付けられていないかを確かめ、あれば取り除く。箱の隙間は紙のガムテープでしっかり目張りする。虫が発生したら、ポリ袋に中身を移して密閉して二日間天日干しにするか、生ごみを入れずに二週間放置すれば死滅する。虫が苦手な人は、発生しやすい夏場は避け、十一月〜翌年四月ごろに再開するのも手。

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