半年にわたるシベリアの「熱波」は地球温暖化の影響 欧州などの研究グループが警鐘

2020年7月16日 10時45分

ディーゼル燃料が流出し、赤紫色に染まったロシア北部ノリリスクの川=6月(タス・共同)

 ロシア・シベリアで今年1月から6月まで続いた「熱波」は、人為的な地球温暖化がなければ起き得なかったという研究報告を、ロシアや欧州などの科学者でつくる研究グループが16日公開した。現地では永久凍土の溶解や森林火災が相次ぎ発生。報告では「温室効果ガスを急速に削減しなければ、今世紀末までにこうした異常気象が頻繁に起こるような危険性がある」と警鐘を鳴らしている。
 シベリアの1~6月の気温は、1981~2010年の平均気温よりも5度以上高い状態が続いた。6月20日には東部のベルホヤンスクで、過去最高とみられる38度を観測した。
 気温の変動をシミュレーションした結果、今回の熱波は温暖化がなければ、8万年に1回未満の割合でしか起こらないと推定。温暖化が進んだ現時点でも、130年に1回未満というまれな気象現象だという。
 熱波の影響で、5月にはシベリアの北極圏にあるノリリスクで永久凍土が解け、凍土に立つ燃料タンクが損傷して2万トンを超える大量の軽油が川や土壌に流出。6月には大規模な森林火災が発生し、温暖化につながる二酸化炭素を大量に排出する事態が起きた。
 報告は、気候変動が極端な気象現象に与える影響を分析する取り組み「ワールド・ウエザー・アトリビューション」に参加する第一線の気候科学者がまとめた。各国政府の温暖化対策に基礎的な情報を提供する国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の報告書の執筆者も含まれている。 (渡辺聖子)
・公開された研究報告はワールド・ウエザー・アトリビューションに掲載。PDFはこちら

◆高緯度、温暖化の影響出やすい

 国立極地研究所の猪上いのうえじゅん准教授(極域気象学)の話 シベリアなど高緯度地域では、温暖化の影響が表れやすい。シベリアで気温が30度を超えることはあるが、6カ月に及ぶ高温状態は珍しい。雪が少なく、雪解けの時期に地面が日射で加熱され、気温が上昇したのではないか。シベリアの気候は大気の流れを変えるため、日本など中緯度の地域の気圧配置の変化につながる可能性はある。

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