東京除外で全面中止逃れる…「Go To」に固執するワケ

2020年7月17日 06時00分
安倍首相との面会後、記者団の取材に応じる赤羽国交相(右)と西村経済再生相=首相官邸で

安倍首相との面会後、記者団の取材に応じる赤羽国交相(右)と西村経済再生相=首相官邸で

  • 安倍首相との面会後、記者団の取材に応じる赤羽国交相(右)と西村経済再生相=首相官邸で
 政府が16日に、観光支援事業「Go To トラベル」の実施内容を軌道修正したのは、東京都での新型コロナウイルス感染再拡大で、全国的な実施への批判が高まったためだ。開始まで1週間を切った時期での全面中止による混乱を避けたい政府の事情もあり、感染症対策と経済対策との間で妥協案を探った。他の都市部でも感染者が増えている。東京だけ除外すれば感染拡大が防げるわけではない。(中根政人)

◆都内の新規感染者増が決定打

 「現下の感染状況に鑑み、東京都を目的にしている旅行や、東京都に居住する方の旅行を対象から外す」。赤羽一嘉国土交通相は16日夕、「東京除外」をした上で、感染防止対策を徹底して、予定通り22日からキャンペーンを始める方針を示した。
 決定打は、東京都の新規感染者数の高止まりだ。5月25日の緊急事態宣言解除の前後に1桁まで減ったものの6月以降に増え始め、7月16日には過去最多の286人に達した。
 同日の参院予算委員会で立憲民主党の杉尾秀哉議員はキャンペーンの結果、感染が拡大した場合「誰が責任を取るのか」と追及。政府のコロナ対策分科会の尾身茂会長も「感染が拡大していると判断されれば、全国的なキャンペーンをやる時期ではない」と慎重姿勢を示した。
 自民党の岸田文雄政調会長も派閥会合で「何らかの条件を考えなければ、国民の理解や安心につながらない」と政府に注文をつけた。
 政府は15日には「大きな流行は収束させた」(西村康稔経済再生担当相)としていたが、東京都は感染状況の警戒度を最高レベルに引き上げた。政府高官は16日の方針転換について「東京都の判断を無視するわけにはいかない」と背景を説明。最終的に首相が判断したと明かした。

◆「経済は回さなければ」

 キャンペーンの延期や中止に至らなかったのは「経済活動は回していかなければいけない」(首相周辺)として、政府の目玉政策に位置付けてきたからだ。
 官邸幹部は、外国人訪問客が激減した今、「(都市部からの観光客が)来なければ倒産してしまう旅館がたくさんある」と強調。22日の開始が迫っている。開始時期を遅らせれば、既に予約した人への対応が必要になる可能性もある。

◆これまでも批判続出

 「Go To トラベル」を含む政府のキャンペーンは、これまでも批判がついて回ってきた。
 緊急事態宣言発令中の4月末に成立した2020年度第1次補正予算に事業費1兆6794億円が盛り込まれ、消費喚起策としては時期尚早だと指摘された。外部への事務委託費の上限が、事業費の約2割に当たる3095億円に上り、野党は「高すぎる」と訴えた。
 当初8月上旬としていたキャンペーンの開始を7月22日に前倒し後に、感染が再拡大。自民党内からは「今は政権が弱っているから無理して進められない」(若手国会議員)と、「Go To トラベル」そのものを巡り冷ややかな声も漏れる。

関連キーワード

PR情報

政治の最新ニュース

記事一覧