まる子のカメ/車座の朝食/中村哲さん

2020年7月17日 08時08分

山中正義(35)熱海通信局

◆まる子のカメ

 「ちびまる子ちゃん」と言えば、子どものころに毎週テレビで見ていた人気漫画。静岡市出身で作者の故さくらももこさんに、まな娘ならぬ「愛ガメ」がいたとは知らなかった。
 静岡県河津町の動物園に親族から寄贈され、飼育されているビルマホシガメの「カメミ」だ。一時は環境の変化によるストレスから体調を崩したこともあったが昨年、危機を乗り越えて初めて妊娠と産卵を経験した。わが子の誕生を待つかのように園にしつこく取材。飼育員も「何かあればこちらから連絡しますから」と苦笑いだった。
 ベビー誕生に期待が高まったが、残念ながらふ化しない無精卵でかなわなかった。しかし、今年も既に産卵した。ソワソワした日が続く。

◆車座の朝食

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う静岡県内のイスラム教徒への影響を取材しようと、静岡市のモスクを訪ねた。扉を開けると車座で朝食を取る信者たちの姿。「朝ご飯食べた?」。こう尋ねられたので否定すると、すぐに輪の中に招かれた。
 思いがけない「おもてなし」に懐かしさを感じた。というのも学生時代などにイスラム圏に滞在したことがあったから。現地で住民に誘われ、何度も食を共にしたことを思い出した。
 コロナ禍のストレスや不安から「自粛警察」や、感染者やその家族への差別が取り沙汰される。疑心は分断しか生まない。車座で仲良く朝食を取る彼らの姿に、ふと心が安らいだ。

◆中村哲さん

 非政府組織(NGO)「ペシャワール会」の中村哲さんが昨年末、アフガニスタンで武装集団に襲われて亡くなった。「本当に命を懸けたら駄目だけど、それぐらいの気持ちでやらないと信頼は得られない」。お別れ会で、元職員は肩を落とした。
 記者になる前に約半年、私も同会で働いた。小さな体で力強い目線。時折見せる優しい笑顔。屈強なアフガン人に交ざって用水路建設などの現場で指揮を執る姿は、大きく見えた。
 中村さんに最後に会ったのは二〇一五年の関西空港。現地に戻る直前だった。コーヒーをすすりながら突然、「戻って来ないか」。あの言葉に応じていたら…。今も考えてしまう。
<やまなか・まさよし> 神奈川県出身。2013年入社。静岡県で伊豆半島の8市町担当。記者になる前にアフガニスタンとパキスタンにNGO職員などで2年半赴任。スパイスの効いたカレーと語学好き。

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