<ふくしまの10年・無人の街を撮り続けて>(4)駅前に突然ダチョウが

2020年7月17日 08時20分

JR富岡駅近くの路上に突然、ダチョウが現れた=福島県富岡町で(飛田晋秀さん提供)

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の前から、富岡町のJR常磐線富岡駅は、特急が停車する駅で、首都圏と行き来する東電関係者らも利用する駅だった。駅前通りには老舗のうなぎ料理屋など飲食店もあった。
 事故翌年の一月末、三春町の写真家・飛田晋秀(ひだしんしゅう)さん(73)が許可を得て向かった富岡駅前の通りで、意外な動物と遭遇した。
 「駅の方向から鳴き声も出さず突然、大きなダチョウが現れたんです。望遠レンズで車内から写真を何カットか撮りました。人間に慣れているらしく、どんどんこちらに近寄ってきたので車の中に逃げたんですよ」
 ダチョウはその後、エサが欲しいのか車に近づき、フロントガラス越しに中をのぞきこんできたという。同行の知人からは「被ばくしているかもしれないから、絶対、触らないように」と注意された。
 隣接する大熊町内で飼われていたダチョウが事故後、逃げ出したらしい。飛田さんは同じ富岡町内で二カ月後にもダチョウを目撃したという。
 「同じ個体かどうか分かりませんが、人の都合で飼っていたのなら、世話をしてやれないとかわいそうですよね」
 その後、飛田さんのカメラのファインダーには頻繁に野生化した家畜が写り込むことになる。

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