<新型コロナ>GoTo「東京外し」 秩父地域に戸惑いの声 「都内からの訪問客増えそう」

2020年7月18日 07時31分

県が安心して観光できる場所を紹介するホームページ

 東京都発着の旅行を除外して実施することが決まった政府の観光支援事業「Go To トラベル」キャンペーン。都内から多くの観光客を受け入れてきた秩父地域では、戸惑いの声が上がった。県は県民に県内観光を勧め、観光地の苦境を和らげようとしている。(出来田敬司、森雅貴、飯田樹与)
 「うちは半分ぐらいが都内からの利用客」と話し、キャンペーンからの「東京外し」の影響を心配するのは、秩父市荒川日野の旅館「ちちぶ温泉はなのや」。新井博規代表は「その分、さいたま市や川越市など県南の都市部からお客さんを招きたい」と意気込んだ。
 都民除外で逆に都内からの客が増える心配をする声も。秩父神社の参道にある老舗菓子店「秩父庵(あん)玉木家」の浅見和子さん(67)は「都内の人は遠くに出づらくなり、近場の秩父を訪れるようになるのでは」と予測。コロナ禍でも来店客にお茶を出すなどのおもてなしに努めてきたが「警戒しながらの接客になる」と戸惑いを見せた。
 秩父市の久喜邦康市長は十七日に臨時記者会見を開き「観光客は増えるだろうが、もろ手を挙げて歓迎はできない。安全対策をしっかりして受け入れていくしかない」と述べた。
 東京都に近いJR大宮駅(さいたま市)周辺でも、戸惑いの声が聴かれた。
 同市の無職女性(68)は「都民」の線引きに疑問を持つ。「都内には、埼玉からも神奈川からも通勤している人が多いのに」。潜在的に感染している可能性のある人もいるとみて「ワクチンができるなど状況が変わるまでは全国的に遠方への移動は控えることが収束に向けて大事では」と指摘した。
 一方、旅行業に勤務した経験のある無職女性(32)は感染拡大を心配しつつ「特に地方ではもともと経営が苦しい旅館などが多く、現状ではさらに厳しいだろう」と推測。「観光客を待ち望む従業員も多いはず」と思いやった。
 「観光の目的地として東京を選ぶことは避けてほしい。県内には魅力的なスポットがあるので、県内もしくは近場に限ってほしい」。十七日、報道陣の取材に応じた大野元裕知事は、県民にそう呼び掛けた。
 コロナによる外出控えで、県内の観光業は冷え込んでいる。県にこの業界に特化した独自支援策はなく、かき入れ時の夏休みに実施するこのキャンペーンこそが支援策になるはずだった。感染防止とのジレンマを抱え、妥協策が県民への県内観光推奨だ。県は同日、ホームページに、感染対策の実施が確認できた市町村推薦の観光スポットを紹介する特設ページ「安心ちょこたび観光」を開設した。
 都民へのメッセージを聞かれた大野知事は「県内には高齢者が多い地域もある。賢明な判断をして埼玉の状況に配慮してほしい」と言うにとどめた。

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