<ふくしまの10年・無人の街を撮り続けて>(5)言葉失った被災地視察

2020年7月18日 08時09分

防護服を着て大熊町内を視察する嘉田由紀子さん=福島県大熊町で(飛田晋秀さん提供)

 昨年の参議院選挙で野党統一候補として初当選した嘉田(かだ)由紀子さん(70)は、滋賀県知事だった二〇一一年四月以降、福島県庁に派遣した職員の激励や、被災地視察のため何度も福島県入りした。
 嘉田さんは一四年六月には「被災した個人宅の様子を見たい」という要望で福島市の県庁を訪問した後、富岡町や大熊町を視察した。同行した三春町の写真家・飛田晋秀(ひだしんしゅう)さん(73)は、視察の様子についてこう振り返る。
 「嘉田さんは原発事故が起きた場合、住民の生活にどのような影響を及ぼすのか、確かめたかったようです。関西電力大飯(おおい)原発3、4号機(福井県)が一二年七月に再稼働しており、広域避難への備えが必要になることを思えば、福島の原発事故は人ごととは思えなかったのでしょう」
 嘉田さんは防護服を着て、放射線量が高く帰還困難区域となっていた大熊町西部の個人宅を視察した。
 飛田さんは視察の三カ月前にこの家の玄関先で放射線量を測定したが、毎時二四マイクロシーベルトあった。屋内は少し低くなるとしても、一年間で健康への影響が出てくる一〇〇ミリシーベルトを超える線量だ。
 カギをかけて避難したという民家の中はイノシシに荒らされていた。嘉田さんは、とても人の住む状態でない室内の光景に言葉を失っていた。
 ◆次回は21日掲載予定。

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