感染対策と経済 両立への説明が足りぬ

2020年7月18日 08時08分
 東京都などでの感染拡大を受け、政府は観光産業支援の「Go To トラベル」事業を修正した。だが、感染防止対策と経済活動のどちらに軸足を置くのか、今回の対応からは見えてこない。
 新型コロナウイルスと共存するには、感染状況に合わせて、柔軟に対応することが必要だ。感染防止対策と経済活動とのバランスをどうとるのかが、重要になる。
 東京都で感染拡大が加速し、一日の新規感染者が二百人を超える事態が続いている。
 厚生労働省に助言する専門家組織「アドバイザリーボード」は十四日時点で、直ちに感染が拡大する状況になく、地方への移動も止める必要はないと指摘していた。
 ところが都は十五日、警戒度を最高レベルに引き上げ、十六日には二百八十六人の新規感染者が確認された。
 同日開かれた政府の新型コロナ感染症対策分科会は、状況を「放置しておくと市中へのまん延やさらなる地方への感染が生じる危険性がある」と見方を変え、「Go To トラベル」の割引事業から、東京都発着の旅行を除外する政府の見直し案を了承した。
 現在、都内で入院中の重症者は少なく、医療態勢が逼迫(ひっぱく)していた四月と状況は明らかに違う。
 しかし、感染は劇場や介護施設などでも発生し、地方にも広がりだした。接待を伴う飲食店関係以外の場所や、若者以外にも感染は拡大している。この状況にどの程度の危機感を持っているのか、政府からは明確に伝わってこない。
 政府は、対策を徹底しない事業者にだけ休業要請することを検討しているが、どこまで協力が得られるのか、疑問も残る。
 「Go To トラベル」の二十二日開始には地方からも批判が噴き出した。なぜ東京都発着だけ除外するのか、東京近隣の自治体や大阪府でも感染者は増え、東京都発着を除外するだけで対策は十分なのか、十分な説明はない。
 人口の多い東京都を外したことが経済効果にどう影響するのか、さらに感染が広がった場合、対応をどう変えるのかについても、何も説明がないままだ。
 感染症対策は状況の変化に柔軟に対応する必要があり、政策の朝令暮改はためらうべきではない。
 しかし、それは実際に対策に取り組む国民と危機感を共有し、政府が対策の方向性や効果に関する説明に努めて初めて許される。
 説明なき方針転換は、国民の混乱を招くだけだ。

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