財政は?設備は?支援は?そして開催は? 五輪・パラ競技団体の不安くっきり

2020年7月23日 06時00分

◆77%がパラサポの支援継続望む

 パラリンピック競技に関わる26団体には、日本財団パラリンピックサポートセンターの支援継続の希望を聞いた。同センターは、専用の事務所がないなど活動基盤が弱いパラ競技の団体を支えるため日本財団が2015年に東京都港区に設けた無償の共有オフィス。東京大会以降は自立を促し、当初から21年度で終了の予定となっていた。
 その後の支援について「費用が発生しても希望する」が6団体あり、「無償ならば希望する」を含めると計20団体と約77%が継続を求めた。日本障害者カヌー協会は「小さな団体なので、他の団体から教えていただいたり、参考となる情報を頂けることは競技団体やパラスポーツの成長と発展にもつながる」と、団体の集まる場所として継続を望んだ。
 日本知的障がい者陸上競技連盟も「選手自身がアクションを起こしにくいので、その環境を取り巻く支援者が何らかの自己犠牲を払って活動しているのが現状」と、知的障害選手を支える難しさを挙げ、引き続き会議室の借用や資金的な支援を希望する。
 東京大会のレガシーとして共生社会への取り組みを期待する団体からは、新型コロナウイルスに関して「障害があるというだけでリスク評価を高く見られ、施設が利用できないなど分断社会に向かわないか」との懸念もあった。

◆開催はいつ? 選手たちはその日を信じて


 五輪・パラリンピックの来夏開催の見通しを聞いた。全体の約77%に当たる44団体が「分からない」と回答した半面、アンケートの自由記述欄には、先行きが不透明な中でもスポーツの価値や大会の意義を訴える切実な声もつづられた。
 日本車いすテニス協会は「スマッシュの音や、選手の息遣い、タイヤの摩擦音…。生で体感すれば、いかに競技性が高く、魅力をふんだんに兼ね備えたスポーツであるか、パラ選手が真のアスリートと呼ぶにふさわしい存在かが、一般の皆さまにも伝わる」と観戦の魅力を強調。多くの目に触れるパラリンピックが自国で開かれるのは「こんなに素晴らしい競技広報、普及の機会はない」と言い切る。
 開催の是非が取り沙汰される中、1年後の大舞台を信じてひた向きに練習を積む選手たちがいる。日本レスリング協会は「選手は『自国開催の東京五輪』に格別の思いを持っている。彼らの練習の姿や情熱が、コロナや不景気、人種差別などの暗いニュースばかりの中にともる光明となることを願う」と思いを込める。
 日本ボクシング連盟は「選手らは常に前向きに努力し、国民の皆さまに元気と勇気を届けることができる。どんな世の中であってもスポーツを応援してほしい」とファンに呼び掛ける。選手の姿を見せてこそ、伝わるスポーツの力。日本バドミントン協会は「希望を失わず、しっかりと感染対策をしながらやり遂げること。その思いが必要」。辛抱強く前を見つめている。

 ◆宇都宮大の中村祐司教授(スポーツ行政学)の話  政府などが開催できるという雰囲気を醸成する中でこのような数字が出たのは、競技団体の不安が凝縮した結果だと思う。無観客開催を念頭に、大会組織委はアスリートらの健康を守る姿勢を国内外に示す。その上で運営の簡素化の中身をはっきりと打ち出し、やるべきことを明確にしないといけない。


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