財政は?設備は?支援は?そして開催は? 五輪・パラ競技団体の不安くっきり

2020年7月23日 06時00分

◆競技団体 本紙アンケート


 本紙が実施したアンケートでは、東京五輪・パラリンピックの実施競技を統括する国内の競技団体の多くが財政不安に直面している現状が浮き彫りになった。史上初の大会延期の影響は選手の強化にも及んでいる。

 アンケート 6月29日~7月10日、五輪・パラリンピックで行われる競技を扱う58団体を対象に書面形式で実施し、57団体から回答を得た。両大会の競技を統括する3団体に関しては、パラ関連で集計した。

◆75%が財政に不安 スポンサー撤退、入場料も得られず

 財政面に不安が「ある」と回答したのは全体の約75%。顕著だったのはスポンサー離れを懸念する声だ。「スポンサーのほとんどが2021年3月までの契約で、次年度以降も契約ができるのか不安」「元来、知的障害アスリートにはスポンサーや協賛金がつきにくいが新型コロナウイルス流行により、より一層厳しい状況にある」。団体によっては大会の1年延期に伴い、既に協賛企業が撤退している事例もあるという。
 ウイルスの感染拡大が一時沈静化して以降、プロ野球やJリーグなど一部のプロスポーツは始まった。だが、五輪・パラの競技団体が主催する大会は、ほとんどが止まったままだ。
 例年通りならば得られたはずの参加者の出場料や観客の入場料などが、本年度に限っては大幅減。「中学生、高校生などを中心に公認大会が春、夏となくなり、各県の陸協の組織基盤である登録料が減少している」(日本陸上競技連盟)と、会員確保に頭を悩ませる団体も少なくない。
 「財務シミュレーションによると、本年度の事業が70%以上の縮小となる見込み」(日本テニス協会)「20年度の収支見通しは、収支損が全体で20億円に及ぶ見込み」(日本ラグビーフットボール協会)との回答もあり、コロナ禍の収束が長引くほど打撃はより深刻となりそうだ。

 ◆笹川スポーツ財団の吉田智彦・政策ディレクターの話 新型コロナウイルスの感染拡大により五輪が延期されスポンサー離れが進んだ。第2波、第3波も予想され、今後は競技団体が競技の魅力をスポンサーに提示できるかが、より大事になってくる。

◆選手強化への懸念も大きく

 また、全体の約75%が選手強化への懸念が「ある」と答えた。複数回答で「大会や予選の見通しが立たない」を挙げたのが34団体と最多で、「合宿や練習が十分に行えない」が33団体と続いた。
 「外国人コーチ4人がそれぞれ英国、ルーマニア、スロベニア、スロバキアに帰国し、再入国できない。スタッフが集まらないと活動できない」(日本カヌー連盟)と、世界規模で渡航が制限されているゆえの課題も。「コロナ禍は国民生活全般に悪影響を与えており、スポーツだけが突出して救済の対象となることは正当化されない状況と思われる」(日本フェンシング協会)との指摘もあった。
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