「核なき世界」へ歩み止めない 平和首長会議がネット上で「代替」イベント コロナ禍で8月の総会は延期 <2020年 核廃絶の「期限」>

2020年7月19日 05時50分
 広島、長崎両市が主導し、核兵器のない世界の実現を目指す「平和首長会議」は、新型コロナウイルスの影響で8月に広島市で予定していた総会の延期を決めた。被爆75年の今年は、平和首長会議が掲げた核廃絶の期限。しかし、節目の年の核廃絶運動は、コロナ禍で相次いで中止を余儀なくされている。同会議は「核なき世界」に向けた機運を国内外で維持しようと代替のイベントを企画。新型コロナという制約があっても、市民らとともに核廃絶に向けた歩みは続けていく。(木谷孝洋)

◆被爆75年の節目での広島開催は困難に

 平和首長会議の総会は4年に1回開かれ、前回は2017年に長崎市で開催。今年は被爆75年の節目のため、1年前倒しして開く予定だった。しかし、新型コロナの世界的な感染拡大で、海外から多くの参加者を招く会議の開催は困難と判断。来年8月の開催に向けて準備を進める。
 今年の総会では、平和首長会議が03年に定めた行動指針「2020ビジョン」の総括と、次期ビジョンを議論する計画だった。
 「2020ビジョン」は核廃絶に期限を設け、被爆者が存命のうちに核なき世界を達成するとの決意を示した。今年末で失効するが、核兵器禁止条約の早期発効を求める署名活動などを盛り込んだ行動計画は次期総会まで延長する。
 平和首長会議は「核廃絶の取り組みは止めない」として、代替イベントを予定している。

◆YouTubeでライブ配信も

 その一つが広島、長崎の被爆者や国連、ノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)などから寄せられたビデオメッセージの配信だ。平和首長会議の事務局が1本の動画(約6分)にまとめ、7月20日から公開する。
 今年は8月6日、9日に被爆地で開く平和式典の規模縮小で、海外からの参列も難しいことから、インターネット上で若者らの意見交換の場も設ける。8月4日には英国やフランス、ロシア、ブラジル、日本の若者が各国での平和への取り組みを発表。16カ国から選ばれた50人の若者が議論に参加するほか、会議の様子はYouTubeでライブ配信する。事前登録すれば視聴できる。
 一連のイベントを周知するため標語「ノーモア・ヒロシマ!ノーモア・ナガサキ!」と、関連のバナーも作成した。
 平和首長会議事務局の末広恭子課長は「今年は核廃絶運動の節目の年なのに、コロナの影響で総会が開けないのは残念。被爆地に集まることはかなわないが、代わりとなる取り組みで被爆者の思いと核廃絶への願いを共有したい」と話す。

 平和首長会議 1982年、広島市の荒木武市長(当時)が核兵器廃絶の機運を世界的に高めようと呼びかけて発足した都市のネットワーク。広島市が会長都市、長崎市が副会長都市の一つをそれぞれ務め、他に世界の25都市が役員都市に名を連ねる。加盟都市は今年7月時点で164カ国・地域の7909都市。国連や各国政府への要請のほか、海外の若者を被爆地に招く事業や原爆ポスター展の開催などを展開する。

関連キーワード

PR情報

政治の最新ニュース

記事一覧