悩む大学、後期もオンライン授業 学生「友人つくれない」「実習できず困る」

2020年7月19日 10時43分

後期授業も原則オンラインで行うと発表した青山学院大=17日、東京都渋谷区で


 新型コロナウイルス感染症が再び拡大し、各大学が秋からの後期授業もオンラインで行うと決定する動きが相次いでいる。既に段階的に対面授業を開始した大学もオンラインに戻すなど対応に苦慮している。学生は「友人をつくれない」「実習ができないと困る」などと不安を募らせている。(土門哲雄)

◆実験、実習、ゼミだけ対面授業

 各大学は前期を基本的にオンライン授業にしている。そうした中、青山学院大は9日、9月14日からの後期も原則オンラインで行うと発表。対面授業は実験、実習、ゼミなどに限る。阪本浩学長名の文書で「対面授業のためだけに、地方や海外から首都圏に移動する必要はない」と強調した。
 立教大も14日、秋学期の授業は原則オンラインで行い、感染防止策を十分に講じた上で対面授業も一部科目で実施するとした。
 早稲田大は15日、9月25日からの秋学期はオンライン授業を基本としながら、教室での授業を一部再開すると発表。オンライン授業を受けるための教室やパソコン室を6日から開放しており、収容人数を4分の1にして「密」を避けて利用してもらう。
 また、既に対面授業を始めた大学が、再びオンラインに戻す動きもある。

◆感染拡大受け再びオンラインに

 法政大は6月22日から実習、実験などの対面授業を始めたが、感染拡大を受け、6日から全科目オンラインに戻した。同じように実習などを開始していた明治大は15日、東京都が警戒レベルを引き上げたことなどで、7月中の対面授業を中止に。秋学期の実施形態は月内に決める。
 小中高校は既に対面授業を再開したが、大学の大半は今も入構を制限している。文部科学省高等教育企画課は、大学は教室に多くの人が集まり、電車などの移動距離も長く、感染拡大リスクが高いと指摘する。大学設置基準は、卒業に必要な単位取得にオンライン授業を認めており、感染症対応のガイドラインで活用を求めている。
 ただ医学部や歯学部、理系、芸術系などの実習や実験、実技指導をオンラインで行うのは難しい。
 全日本医学生自治会連合が12日にインターネットの会議システムを使って開いた「学生リレートーク」に参加した北里大2年の女子学生は「前期は解剖実習が10コマ減った」と残念がる。山梨大3年の男子学生も「画像所見や病理画像を理解するのが難しかった」と話した。このほか学生からは「施設費の返還を求めたが、認められなかった」など、学費への不満の声も目立った。

◆ハイブリッド型へ長期的なサポートを

 こうした状況に、大学や教員側も危機感を強めている。関西学院大法学部の岡本仁宏教授(65)は3月に「新型コロナ休講で、大学教員は何をすべきかについて知恵と情報を共有するグループ」を会員制交流サイト(SNS)のフェイスブックに立ち上げた。参加メンバーは約2万人に上る。
 岡本教授は「現状では、全面的に対面授業を行える可能性は低く、対面ができる場合でもオンラインとのハイブリッド型になるだろう」と指摘。「今後は、オンライン授業の質を上げ、物理的、社会的なインフラを整えることが大事で、国や大学の長期的なサポートが必要だ」と話す。

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