東京一極集中の解消を コロナ禍の今が「大きなチャンス」

2020年7月20日 06時00分

◆首都機能移転・分散の議論が活発に

「司法移転を進める会」が東濃地域に立てているのぼり旗=岐阜県中津川市内で(同会提供)

 新型コロナウイルスの感染拡大で東京に人口や企業が集中するリスクが明らかになったことを受け、首都機能の移転・分散の議論が活発化している。自民党内では、経済や教育分野も含めた地方への分散を検討する動きがある。地方でも期待の声が高まりつつあり、政府も一極集中是正を進める方針を打ち出している。 (井上峻輔)

◆感染症対策としても

 「一極集中是正は、感染症対策でも経済面からも必要だ」。6月に国会内で開かれた自民党の「社会機能の全国分散を実現する議員連盟」設立総会で、会長の古屋圭司元国家公安委員長は意義を強調した。
 会の設立趣意書では「首都を丸ごと移転するという従来の発想ではなく、それぞれの地域に役割分担してもらい、代替性の役割も同時に果たす」と分散のイメージを掲げた。行政や立法に加え経済や教育機関も対象に議論し、年内にも提言をまとめる。

◆1990年代ブーム…2000年代に下火

 首都機能移転は1990年代に議論が本格化。国会等移転審議会が「栃木・福島」「岐阜・愛知」「三重・畿央」を候補地に絞ったものの、巨額の移転費用などに慎重論が相次ぎ、2000年代には下火になった。国土交通省内にある審議会事務局は休眠状態。岐阜、愛知両県が設置した「新首都推進協議会」は16年度末で活動を休止した。
 安倍政権も14年に「地方創生」の一環として政府関係機関の地方移転を掲げたが、全面移転するのは22年度中に京都市に移る予定の文化庁だけだ。

◆地方移住への関心高まる

 ハードルは高いが、コロナ禍で住民意識に変化が見られる。内閣府が5月下旬から6月上旬に行った調査では、就業者の34.6%がテレワークを経験したと回答。東京23区の20代の35.4%は地方移住への関心が高まったと答えた。西村康稔経済再生担当相は「東京一極集中を転換する大きなチャンスだ」とみている。
 東京都の小池百合子知事は3月の記者会見で、首都機能移転について「東京一極集中を是正することがすなわち日本の成長や発展につながるとは思えない」と否定的な見方を示しているが、政府は7月17日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)と「まち・ひと・しごと創生基本方針」で、一極集中を是正する方針を掲げた。
 北村誠吾地方創生担当相は同日の記者会見で「コロナ対策に伴うテレワークの普及が、地方への人の流れにつながっていくことが重要だ。多様な働き方や暮らし方を応援していく」と話した。

◆リニア開業にも期待

 地方の期待も高まっている。全国知事会が6月にまとめた提言に、中央省庁の地方移転が盛り込まれた。
 候補地に挙げられた岐阜県の東濃地域で、一昨年から最高裁判所の誘致活動を続ける「司法移転を進める会」は、コロナ禍での一極集中是正の流れに乗り、のぼり旗の作製や勉強会で機運を高めようとしている。東濃地域の中津川市にはリニア中央新幹線の中間駅も設置予定。メンバーの服部誠さん(39)は「東京に全てが集中している必要はない。リニアで移動もしやすくなる。今がチャンスだ」ととらえている。

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