<7月の窓>なぜ大学生だけ 孤独なオンライン授業
2020年7月20日 06時00分
「いつになったら、娘は大学に通えるのかしら」
4月に東京都内の私大に入学した長女(18)は、自宅の部屋に閉じこもり、パソコンに向き合ってオンライン授業を視聴し続ける。その姿に母親(49)は胸を痛める。
環境問題に興味を持ち、「温暖化を食い止める技術を開発したい」と生命科学部に進学した。高校で親しんだ合唱も続けるつもりだった。
だが、新型コロナウイルスの影響で今もキャンパスに入れない。5月からオンライン授業が始まり、配信された動画を1日3時間以上見て課題をこなしてメールで送る。8月の定期考査は課題やリポートで評価されるため、やる気がわかなくても、動画を見続けなければならない。
都内の小中高校は6月から再開した。商業施設には大勢の客が戻り、プロ野球やJリーグの試合も上限付きで観客が入るようになった。
「どうして大学生だけ通えないのか。娘たちだけ取り残されているみたい」
大学側も大変だろうと思うけれど、実習は行われず、図書館にも入れないのに、高額の施設費がかかっていることにも疑問が残る。
「いつも1人きりで、つらい」と、ときには部屋で泣いていた長女。最近は明るさを取り戻したように見えるが、学生たちのツイッターなどを見せてもらうと、「大学を辞めたい」「休学したい」との書き込みが目につく。学生たちへの心配は募るばかりだ。
「これ以上、孤独な大学生活を進めるのは、もう限界ではないでしょうか」。せめて週に1日でも、大学に通えないかと願う。 (土門哲雄)
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