働く場 多様化の兆し コロナ後もテレワーク継続

2020年7月20日 07時44分

テレワーク用に買った事務机と椅子を使って仕事をする藤原さん=埼玉県所沢市で

 新型コロナウイルスの感染拡大を機に広がるテレワーク。コロナ後もテレワークの継続にかじを切った企業では通勤手当を廃止し、代わりに必要な備品購入の費用を補助するなど、社員の自宅を仕事場として整える動きがある。さらに、一部の企業では単身赴任の見直しやオフィスの削減といった大胆な方針も。毎日の出社が当たり前だった従来の働き方が変わろうとしている。 (添田隆典)
 27インチのパソコンモニターが置ける広々した机に、背もたれ、肘掛けが付いた作業用の椅子。埼玉県所沢市の会社員、藤原建佑さん(34)は「職場と遜色ない」と喜ぶ。
 勤務する東京都内の広告会社「kiCk(キック)」は、三月中旬から全社員六十人が原則在宅勤務に。机と椅子は「必要な備品購入を」と支給された二万円で買いそろえた。通信にはポケットWi−Fiが貸し出され、通信費は会社持ちだ。

テレワーク継続で空席が目立つ藤原さんの勤務先=東京都港区で

 一方、五月から通勤手当は廃止され、会社までの交通費は実費精算に。オンラインの業務でも支障がないとしてテレワークの継続が決まったためだ。「片道一時間半の通勤から解放された」と藤原さん。ただ、今も週一〜二日は出社する。「企画の打ち合わせなどは顔を合わせた方がアイデアが生まれやすい。自宅で行き詰まった時の気分転換にオフィスは大事」と話す。
 テレワークに商機を見いだす会社も。都内にマンスリーマンション八百戸を展開する「レジデンストーキョー」(東京)は三月中旬から、全ての部屋にWi−Fiや机、椅子などを用意した。自宅に仕事部屋がなかったり、家族がいて集中できなかったりする人向けだ。
 利用は月六万円から。すでに四百件以上の契約があった。一時しのぎで利用している人も多いが「テレワーク対応のマンションやアパートの需要は必ず伸びる」と担当者はみる。
 大きな決断をしたのが、七月以降もテレワークを無期限で延長するカルビー(同)だ。所属部門が認めれば家族と暮らせるよう、単身赴任を解除する方針を打ち出した。対象は、全社員の二割に当たる事務系の約八百人だ。ウェブ会議システムや電子押印を使えば、自宅でも対応できると判断。単身赴任先とは、自宅からのオンラインと出張でやりとりする予定だ。
 富士通(同)は既存オフィスの面積を二〇二二年度末までに半減する。より小規模なオフィスを各地に整え、働く場所を自由に選べる勤務形態を目指す。
 オフィス仲介大手の三鬼商事(同)によると、六月の都心オフィスの平均空室率は1・97%。百室当たり二室弱しか空いていない計算で、オフィス不足の状況は依然続いている。
 ただ、空室率は三月以降、四カ月続けて上昇。同社は「新規の契約が減る一方、オフィスの必要性が薄れたとして解約する企業もあり、コロナの影響が表れ始めた」と分析。大阪や名古屋など他の大都市圏でも同様の傾向が見られる。
 テレワークについて調査するニッセイ基礎研究所主任研究員の金明中(キムミョンジュン)さん(50)は「賃料の高い都心のオフィスを手放し、郊外に置く小規模オフィスや社員の自宅を活用する動きは続くだろう」と説明する。一方で、日本型の雇用スタイルは業務の過程やチームワークを重視する傾向が強く、「仕事場や互いの顔を合わせる場としてオフィス機能は残る」とも。「テレワークが日本全体に波及するには、住宅環境の改善や、どのように人事評価をするかなど解決すべき課題は多い」と話している。

関連キーワード

PR情報

ライフスタイルの最新ニュース

記事一覧