「秋に備え、検査体制拡充を」 国際感染症センター長・大曲貴夫氏

2020年7月21日 06時00分
新型コロナウイルスの対策について話す大曲貴夫国際感染症センター長=東京都新宿区の国際医療研究センターで

新型コロナウイルスの対策について話す大曲貴夫国際感染症センター長=東京都新宿区の国際医療研究センターで

<新型コロナインタビュー>
―新型コロナウイルス感染症対策を巡り、3月半ばから東京都のアドバイザーを務めてきた。一連の対策では、どの時期から厳しさを感じたか。
 それ以前の、集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で患者の下船が始まった2月下旬ごろから。患者への診療対応のほか、受け入れ先の病院を確保するための調整などにも関わり、日夜、駆けずり回っていた。
―3月下旬には2度にわたり小池百合子都知事の記者会見に同席し、「感染者の8割は軽症だが、2割は入院が必要で、5%は重症化する」と都民に警戒を呼びかけた。
 感染者が急増し、気の緩みが出たと言われた時期。診療の現場では医師も皆、心身ともに限界に近かった。「このままじゃ本当に(感染爆発した)ニューヨークのようになってしまう」という私自身の恐怖感を、1人でも多くの人に伝えたい一心だった。
―緊急事態宣言は5月25日に全都道府県で解除された。感染拡大を抑えられた理由をどうみる。
 遺伝子の差異や蔓延したウイルスの型の違いも取り沙汰されるが、科学的にはまだ不明だ。むしろ、行政からの「お願い」レベルでも従う、日本人特有の社会規範が要因ではないか。同調圧力もあったとは思うが、東日本大震災時のような前向きな連帯もみられた。
―第1波が落ち着いた後、再び感染が拡大している。現状をどう考え、どう対策すれば良いか。
 現状の患者は、重症化のリスクがほぼない20、30代が多いが、年齢層が上がってくると入院者が増え、重症化すれば一気に医療態勢に負荷がかかる。一人ひとりが感染リスクを忘れずに3密回避やマスクの着用を続け、強い意志を持ってウイルスと付き合っていくことが大切だ。事業者はそれぞれのガイドラインを守って対策してほしい。
―行政に求められる取り組みは。
 増加が予想される軽症・無症状者のための療養施設を適切に確保してほしい。秋から冬にかけて風邪の人が増えてくる前に、十分な検査体制を整えておく必要がある。 (聞き手・小倉貞俊)

おおまがり・のりお 1971年生まれ、佐賀県出身。佐賀医科大医学部卒。テキサス大ヒューストン校感染症科、静岡がんセンター感染症科医長などを経て2012年から国立国際医療研究センター病院・国際感染症センター長。東京都の新型コロナ感染症対策審議会委員。

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