後藤新平に学ぶなら

2020年7月22日 07時07分
 関東大震災後の東京の大規模な都市計画で知られる政治家、後藤新平。彼を「尊敬する人物」に挙げる小池百合子知事は、後藤の言葉をしばしば演説などで引用してきた。
 「人のお世話にならぬよう。人のお世話をするよう。報いを求めぬよう」(二〇一六年、都議会の所信表明で)
 「金を残して死ぬ者は下だ。仕事を残して死ぬ者は中だ。人を残して死ぬ者は上だ」(一七年、首都大学東京の入学式で)
 「一に一を加えて億とす。これ根気なり」(一七年、職員へのあいさつで)
 アイデアマンの後藤は、官僚や政治家として生涯数々の実績を残している。小池さんが敬意を抱くのも当然だが、「言葉の力」も理由ではないかと思い至った。キャッチーな発言が身上の小池さんには、こうした名言はさぞ魅力的に映るだろう。
 実は、後藤には政治や自治などの自説を丹念に訴えた著作が多い。大病後も遊説に心血を注ぎ、七十一歳の臨終も旅先だった。言葉を大切にし、メッセージを発し続けた。名言は深い思想の上澄みではないか。
 一方の小池さんは、豊洲市場への移転容認や「東京アラート」廃止の際のように、大事なところで説明不足が露呈することがある。自分に不都合なことでも、誠実に言葉を尽くすべきだ。尊敬する先人に恥じないように、と願いたい。 (臼井康兆)

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