タイガーマスクと知る 武道と神道 「初代」佐山さんと神田明神コラボ展

2020年7月23日 07時12分

マスクが並ぶコーナーには佐山さんが敬愛する国学者の本居宣長の肖像画が掲げられている

 華麗な空中技で一九八〇年代のプロレスブームをけん引した、初代タイガーマスクの佐山サトルさん(62)は国学や日本神話に造詣が深いことでも知られる。その思想を神道の関連資料などからひもとく「初代タイガーマスクの武道精神と日本文化展」が、神田明神(千代田区)で開かれている。 (浅田晃弘)
 佐山さんは、タイガーマスクとして活躍した後、関節技を取り入れて近代総合格闘技の元祖となった「修斗(しゅうと)」や武士道を重んじる「掣圏真陰流(せいけんしんかげりゅう)」を創設したほか、日本最古の武道「須麻比(すまひ)」の復興を図っている。展示では、佐山さんの活動を振り返るとともに、神田明神所蔵の国学や神道などについての資料を並べ、精神的な背景を解説した。
 日本書紀によると、後に相撲に転化する「須麻比」の歴史は、垂仁(すいにん)天皇の命による野見宿禰(のみのすくね)と当麻蹴速(たいまのけはや)の力比べにさかのぼる。展示では、明治時代の人気絵師、月岡芳年が描いた浮世絵に「武道のルーツ」と説明をつけた。

佐山さんのサインが入った写真

 「掣圏真陰流」は、「かつての武士のように危機的状況においても不動心を得る」ことを目指す。精神修養のため、フロイトの精神分析学やユングの深層心理学、陽明学、朱子学など洋の東西を問わない、幅広い研究に触れることを説く。江戸時代後期、神道に儒教や道教などさまざな思想を取り込んで、新たな宗教観を確立しようとした国学者の平田篤胤の姿に通じるとして著作「霊能真柱(たまのみはしら)」を置いた。
 知られざる近代の格闘技のエピソードも紹介する。一八八七(明治二十)年に銀座・木挽町と秋葉原の二カ所で開かれた格闘技大会の様子を、浮世絵師の歌川国政が描いた「欧米大相撲スパーララスラ之図」。日本人のほか、米国、英国、スウェーデンの参加者の名前が書いてあり、組み合ったりパンチを繰り出したりしている。「日本初のプロレス興行」とされている。
 神田明神資料館担当の岸川雅範さんは「佐山さんの人生を切り口に、プロレスファン以外にも興味深いアカデミックな企画になった」と話す。大人三百円、学生二百円、中学生以下無料。八月三十日まで。問い合わせは、神田明神=電03(3254)0753=へ。

「欧米大相撲スパーララスラ之図」(歌川国政画)。描かれているのは日本初のプロレス興行とされる=いずれも神田明神で


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