市営ウーバーイーツ? 「デリバリー三鷹」発進 「手数料・配達料ゼロ」 飲食店、バイト減学生応援

2020年7月23日 07時18分

「デリバリー三鷹」で自転車で配達する大学生=いずれも三鷹市で

 ウーバーイーツや出前館などの飲食宅配代行サービスがコロナ禍で広まる中、三鷹市で20日、「手数料、配達料ゼロ」をうたう異色の新事業「デリバリー三鷹」が本格スタートした。大学生が自転車で、市内飲食店30軒の弁当などを届ける。運営は市の第三セクター「まちづくり三鷹」。自治体が宅配代行を行う全国初のケースとなった文京区(今月末で終了予定)の背中を追う。
 「こんにちはデリバリー三鷹です」「お待たせしました」「ありがとうございました」
 JR三鷹駅近くのビルの一室。配達に出発する前に配達員が輪を作り、唱和する。飲食店と注文者の住所が書かれた注文票を確認すると、四角い宅配バッグを背負い、マイ自転車で駆けだしていく。

「中国料理あQ」で料理を受け取り、保温バッグに詰め込む女子学生

 配達員二十五人は全員、市内や近隣で暮らす大学生たち。飲食店を応援しつつ、バイト収入が減少した学生も支援する一挙両得の新事業なのだ。人件費などは市費三千四百万円で賄う。
 時給千四百円・日給(五時間換算)七千円という好条件。配達作業は一回あたり三十分〜一時間の二クールで終わるが、売上金を店に届ける作業などがある。スマホのアプリや電子マネーを使う既存の宅配サービスとは違い、「電話でもOK」「現金のみ」という高齢者に優しいアナログさも売りだ。
 大正大四年生の中島夏希さん(23)は卒業後に海外で働く夢を抱き、渡航費用などを稼ぐため居酒屋で月に最大八万円ほど稼いでいたがコロナ禍で求人がなくなった。「配達先の方々がとても親切で、『雨大丈夫?』と雨がっぱを貸してくれたり、お茶やお菓子をくれたりする人もいる」。市民の善意が心に染みる。
 自転車販売店でのバイトと掛け持ちしているのはカナダからの留学生で、ICUの大学院で学ぶローゼントレーター・ヒラリーさん(23)。「配達先がICUの卒業生で会話が弾み、感激したこともあった」
 一橋大二年生の安岡龍哉さん(19)は以前はバイトの掛け持ちで最大で月十万円を稼いでいたが「四月以降は収入がゼロになり、困っていた」。一番気を使うのは安全。「三鷹は自転車の多い街ですが、事故も多い。この仕事で他人に迷惑をかけるわけにはいかない」。配達員は全員が事前に警視庁職員による安全講習を受けている。

「中国料理あQ」のお弁当の一つ

 飲食店や市民の期待も大きい。「中国料理あQ」の古今(ここん)さん(51)は「四月から売り上げが三分の一に落ち込んだ。ウーバーイーツの利用も検討したが、30%超の手数料に二の足を踏んでいた」と語る。
 買い物に出る機会が減ったという無職女性(75)は「配達料がゼロなのがありがたい。配達する学生さんのお役にも立てられてちょっとうれしい」。無職女性(52)は「メニューは四百円〜五千四百円で一品だけでも配達してくれる。他の宅配サービスのように注文の最低料金がないのが便利」と言う。

注文者宅へ出発

 全国の自治体が食事券の配布などさまざまな飲食店支援を行っているが、配達部隊の整備まで踏み込むのは珍しい。市は「飲食店と消費者をつなぐ恒常的なプラットフォーム(基盤)」(河村孝市長)を目指し、当面続けていく方針だ。市生活環境部の垣花満調整担当部長は「飲食店がつぶれてしまったら、街の機能が失われ、魅力が低下する」と意義を強調する。安全面の徹底など、先行する民間業者とどうすみ分けを図るかも注目だ。
 文と写真・花井勝規
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