宝塚歌劇、新しい表現模索 4カ月ぶり再開

2020年7月23日 08時04分

「はいからさんが通る」フィナーレでの柚香光(中)、華優希(左)ら=いずれも兵庫県宝塚市の宝塚大劇場で

 宝塚歌劇団(兵庫県宝塚市)の公演が十七日、約四カ月ぶりに再開した。宝塚大劇場(同市)での「はいからさんが通る」は、花組新トップスター柚香光(ゆずかれい)のお披露目公演として三〜四月に予定されていたが、新型コロナウイルスの影響で中止。コロナの収束見通しは立たないが、演出や稽古などに工夫を凝らし、観客の感染防止対策にも取り組みつつ新たなエンターテインメントへの一歩を踏み出した。 (小原健太)
 「こういう状況だからこそ、芸事が人間に与える力を感じている。私たちが日々の公演を重ねていけるかどうかは、エンタメ業界全体にも影響すると思う。責任を感じる」
 同名の少女漫画が原作で、陸軍少尉と女学生の恋を描く舞台。公演初日を前に柚香はトップとしての気構え、演劇人としての覚悟をにじませた。
 通常七十人ほどが出演して華やかな舞台を繰り広げるが、感染防止のため部分的に演出は変更された。これまでは、にぎやかだった大階段を使ったフィナーレは舞台上の人数を減らし、間隔を保った新しい形に。稽古では普段は使わない大劇場の舞台を活用して密集を減らす工夫をしたり、生演奏だった音楽は録音になった。
 一方、芝居では、柚香がトップ娘役の華優希(はなゆうき)を抱きかかえるシーンなど恋物語らしい夢のある場面を残した。多くのガイドラインは出演者の間隔を取るよう求めているが、「表現上困難な場合を除く」など演出上の例外を認めている。同歌劇団は「夢を売っているので、お客さまに現実を思い出させるような演出はできない。(避けられない場面があるからこそ)他の接触機会を極力減らそうとしている」と説明する。
 大劇場では、客席数を通常の約半分の千二百七十四席としたほか、観劇前の健康観察や劇場内での常時マスク着用を呼び掛け、入場時には検温と手指のアルコール消毒をしてもらっている。初日に来場した神戸市の女性(57)は「ファンも劇団もしっかり対策している。不安はありません」と語った。
 兵庫県川西市から訪れたファン歴四十五年の女性(57)は言う。「劇場でしか感じられない生の距離感や雰囲気があります。劇を見に行くために仕事を頑張ろうと思える。日々を生きる糧になっています」
 同公演は九月五日まで。東京宝塚劇場(東京都千代田区)は七月三十一日から再開予定。

フィナーレで間隔を保って大階段を下りる出演者

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