東京都、病床確保に四苦八苦 「第1波」病院経営へのダメージ深刻

2020年7月24日 06時00分
 新型コロナウイルス感染者が再び急増する中、東京都のコロナ患者用病床がようやく2400床(22日時点)となった。都は当初、13日までに2800床を確保するとしていたが、医療機関との調整が難航。遅れの一因となったのが、4~5月の「第1波」で病院などが負った経営上のダメージだった。 (岡本太)

新型コロナウイルス患者の対応にあたる看護師ら=東京臨海病院提供

◆「増床は簡単ではない」

 「いざとなればまた受け入れる。その覚悟はあるが…」。協力病院として感染者を受け入れる東京臨海病院(江戸川区)の小林滋病院長は今月17日、机の上にA4資料を広げながら取材に応じた。4~5月の病院の診療報酬をまとめた内部文書。億単位の大幅な減収を示す数字が並んでいた。「正直、この数字を見ると、簡単に病床を増やすのは厳しい」
 新型コロナ患者の受け入れは、医療機関の経営に大きな負担を強いる。集中治療室(ICU)での治療の場合、必要な看護師は通常のけがや病気の重症者の6倍。スタッフは防護服などを身に着けるため、一般病棟との掛け持ちが難しい。慢性的に人手不足に陥りやすく、多くの病院は通常の入院患者の受け入れを減らして対応している。

 新型コロナ患者受け入れ病院への支援 国は6月、コロナ患者を受け入れるため空床にしているベッドに対して支払う確保料を、これまでの3倍の一床5万~30万円に引き上げ。休止を余儀なくされた病床にも1万6千円を支払う支援策を決めた。額の引き上げには評価の声がある一方、病院の減収分を補うには不十分との指摘もある。都は都内130の医療機関に計200億円を支援する予定。

 せきなどの軽い症状の場合、人手はかからないが、簡単には退院させられないため、入院が長期化する傾向も。治療法が確立されていない新型コロナでは、一般の病気やけがに比べて医療行為が少なく、病院としては収入につながりにくい事情もある。

◆通常の診療に影響、収入3割減

 東京臨海病院では、4月下旬ごろ、最大50人程度のコロナ患者を受け入れた。外来診療や手術を制限、人間ドックも中止した。さらに外出自粛などの影響で病院を受診する人も減少。4月と5月、病院の支出は1割増えたが、収入は3割減り、1カ月あたりの影響額は4億円に上った。
 現在確保しているコロナ専用病床は15床。今後の感染状況を見て、都から要請されている40床規模に広げる考えだが、今はタイミングをみている段階だという。

◆コロナ受け入れ病院の9割が赤字

 日本病院会などの調査によると今年4月、都内の新型コロナ患者受け入病院の約9割が赤字だった。東京女子医大病院は夏のボーナスの支払いを一時見送った。日本病院会の相沢孝夫会長は「今は4月、5月の傷で、病院の出血が止まらない状況。各医療機関にとって、もう一度病床を増やしてほしいというのは、かなり厳しい注文だ」と話す。
 都内で入院している感染者は23日時点で964人。今は新規感染者は軽症などの若い世代が多く、宿泊療養や自宅療養が中心だが、重症化リスクの高い高齢者に感染が広がっていけば、病床は一気に逼迫ひっぱくする恐れがある。

◆病院ごとの役割明確に

 都は、最大4000床まで病床を確保する方針だが、医療機関が速やかに対応できるかは不透明だ。小林病院長は「多くの病院に無理をしてもらう方法では長続きしない」とした上で「今後も感染が続くことを踏まえれば、感染症指定医療機関をコロナ専門病院にするなど役割を明確化させ、体制を強化すべきだ」と話す。

 都の病床確保計画 都は7日、感染者数の増加を受け、新型コロナ専用病床を13日までに、それまでの1000床から2800床に拡大するよう各医療機関に要請。ところが15日時点で確保できたのは約1500床にとどまった。21日、都は2400床まで確保が進んだと明らかにした。

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