北朝鮮、国境で労働者の隔離急増 WHO平壌事務所長「監視強化を」

2020年7月24日 06時00分
WHO平壌駐在事務所のエドウィン・サルバドール所長=国連北朝鮮事務所ホームページから

WHO平壌駐在事務所のエドウィン・サルバドール所長=国連北朝鮮事務所ホームページから

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 【ソウル=相坂穣】北朝鮮の保健医療支援に当たる世界保健機関(WHO)平壌駐在事務所のエドウィン・サルバドール所長は、本紙の書面インタビューに応じ、7月上旬になって北朝鮮の中国国境地域などで労働者の隔離措置が急増したと明らかにした。金正恩政権はこれまで、新型コロナウイルス感染者が「一人も出ていない」と発表しているが、サルバドール所長は「北朝鮮保健当局に監視強化を求める」とした。

◆1117人がPCR検査

 所長によると、北朝鮮当局は7月9日時点で、国内の1117人がPCR検査を受けたが、「全員が陰性だった」と主張している。
 だが一方で、平壌近郊の南浦ナムポ港と、中国東北部と接する新義州シンウィジュなど海外から物資が到着する港湾の労働者610人が北朝鮮で隔離されている。感染の有無を含め隔離の理由は明らかにされていないが、週ごとの新規隔離者は7月2日から9日にかけて341人となり、前週の165人の2倍超に急増。所長は「南浦や新義州経由で北朝鮮に入る物資が増加しているためだ」と分析する。

◆国境封鎖でも「医薬品搬入優先を」

 北朝鮮は1月末から防疫対策として国境を封鎖している。食料や生活必需品が不足しているとの情報もあるが、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は20日付の記事で、輸入物資に付着してウイルスが流入する危険性を指摘し、国境封鎖の継続の必要性を訴えている。
 ただし、所長は「医薬品の搬入は優先されるべきだ」と指摘する。平壌で、WHO東南アジア地域事務所から提供された1000回分のPCR検査キットを使い、26日以降に検査が実施されるとの見通しも示した。
 また、北朝鮮での近況として、集会は原則禁止され、幼稚園を含む全教育機関で夏休みの2カ月延長が決まったと説明。国民が公共の場でマスク着用を義務付けられ、ショッピングモールやホテル、食堂などで赤外線による検温や手の消毒などの感染防止対策が実施されているとしている。

 エドウィン・サルバドール フィリピン・マニラ出身。英リバプール大院卒の医師。1990年代からアジア、アフリカの発展途上国への国際医療救援に従事。2006年からWHOに入り、17年にはバングラデシュ事務所副所長として、隣国ミャンマーからのイスラム系少数民族ロヒンギャ難民に対応。19年11月から現職。

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