<新・笑門来福 春野恵子>災い転じて声出る!  曲師を招き稽古

2020年7月24日 07時35分

先日久しぶりに開催された大阪・一心寺門前浪曲寄席のリハーサル。京山幸太くん(左)と曲師の一風亭初月さん。演台の上にアクリル板を設置しています

 どこにどう気持ちを持っていけばよいのか分からない日々である。三月、五月と二回連続で東京での浪曲会を中止とし、今度こそはと非接触体温計の購入などなど準備を進めていたのだが、この状況では今月末の開催も難しいかもしれない。残るのは会場のキャンセル料のみ。つらいデス。

◆曲師を招き稽古

 見えない相手に翻弄(ほんろう)される日々がいつまで続くのか。誰か! タイムマシンで未来へ行って確認してきてくれ!(そんな技術が開発できるくらいならワクチンの方が先に完成するのだろうけど)
 こんな日々だと稽古も基本は家でひとりでするのだが、先日、曲師の一風亭初月さんがわが家に。ソーシャルディスタンスを意識しながらではあるが、久しぶりに二時間たっぷりとお稽古して頂いた。新ネタ二回まわしと、長いことかけていない演目を一回。
 それが! 声が出る出る! 少し専門的な話になってしまうが、入門当初の私の声の調子(キー)は、三の三(三味線の三の糸を浪曲用の調子笛の三番に合わせること)だったのだが、稽古を積み重ねることで音域が広がり、ひとつ高い四の三へ(以前より高いところも低いところも出るように)。
 今回は逆にこのコロナで休んでいるためなのか、さらに調子が上がり、五の三でも余裕で出るように。息も以前より(もともと肺活量は人並み以上なのだが)さらに続くようになっている。こちらは、自粛下に始めた新たなルーティン(一日一万歩、プランクなどの筋トレ、早寝早起きなど)のおかげもあるかもしれない。
 「稽古の積み重ね」と「喉を休ませる」ということ。真逆なことなのにどちらも調子を上げるというのが面白いが、その違いは「音域が広がる」のか「全体的にピッチが上がる」のかということにありそうだ。

◆経年変化も楽しみ

 今回は全体的に声の調子が上がったので、高音が出るのはいいが、三味線の調子を下げると低音がしんどい。私は人の声の低音の響きが好き。だが高音が出ることも大切な要素なので、前向きに捉えて稽古に励みたい。
 年齢を重ねることでも声は低くなる。そうした経年変化を楽しんでもらえるのも、浪曲の魅力のひとつ。五十代、六十代、七十代と積み重ねた先で、どのような深い声を出すことができるのか、非常に楽しみである。

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