歌舞伎座に緊張感 5カ月ぶり公演 八月花形歌舞伎 

2020年7月24日 07時35分
 東京・歌舞伎座=写真=で「八月花形歌舞伎」(一〜二十六日)が上演される。コロナ禍で公演中止が続いてきたが、緊急事態宣言が解除され大きな劇場での公演再開が相次ぐ中、歌舞伎座でも五カ月ぶりに幕が上がる。だが、東京では「第二波」も懸念されるほど多くの感染者が出ており、関係者は「こうした状況でも万全の態勢で感染防止を徹底したい」と気を引き締める。 (山岸利行)
 公演は初めて四部制で行われる。演目、主な出演者は別掲。通常は昼の部、夜の部の二部制(八月は三部制)だが、上演時間は幕間(まくあい)を入れて四時間程度。今回は各部一演目で、幕間なしの各一時間ほどの上演となる。出演者が少ない演目で上演時間も短くすることなどで、感染リスクを減らす。客席数も千八百八席を八百二十三席に絞り、ソーシャルディスタンスを確保する。「高麗屋!」などの大向こう(掛け声)も禁止するなど、感染防止のためのさまざまな対策が取られる。
 歌舞伎座で開かれた製作発表記者会見で、松竹の安孫子正副社長は「劇場、楽屋、事務所の中を専門家に見ていただき、三密をどう克服するかを考えてきた。出演者、スタッフ、従業員の体調を見極め、できることのすべてをやっていく」と緊張感をにじませた。
 歌舞伎座での公演は「三月大歌舞伎」が中止、四月はもともと予定がなく、五〜七月は「十三代目市川團十郎白猿襲名披露」が延期となっていた。襲名披露について安孫子副社長は「せっかくの襲名なのに(客席数を制限せざるを得ない)そんな現状で開催していいのか。大勢のお客さまがお見えになる日が早く来ることを願っている」と当分先送りになる見通しを明かした。
 

◆出演者「いよいよ」「パワー届ける」

製作発表会見を行った(左から)中村七之助、片岡愛之助、松本幸四郎、市川猿之助、中村勘九郎=東京・銀座の歌舞伎座で

 会見では出演する五人の歌舞伎俳優が登場し、心境を語った。
 松本幸四郎(47)は「ついにこの日がやってきた。歌舞伎座は十二カ月開いている劇場。その一カ月目と思っています」と語り、再スタートに思いを寄せた。「与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)」で切られ与三郎を演じるが、「生の舞台で衣装の繊細な色合いを感じてほしい」。
 市川猿之助(44)は「いよいよこの日を迎えた。会見ができたことを喜んでいます」と声を弾ませたが、「コロナで演劇の在り方が百年、二百年のスパンで変わっていくかも」と現状を冷静に見詰め、いまが転換期にあるとの認識を示した。公演では「義経千本桜 吉野山」で佐藤忠信実は源九郎狐(げんくろうぎつね)を演じるが、「四代目猿之助の忠信をつくり上げる、その一歩にしたい」と意気込んだ。
 片岡愛之助(48)は「大向こうがないのはガクッとくる。SE(効果音)で(流せば)いいのではと思ったが、却下された」と笑わせ、「歌舞伎を見たことがない若い人にも見てほしい。安全な歌舞伎座へ」とPR。毛振りで知られる「連獅子」に出演するが、「コロナを吹き飛ばす毛振りをしたい」と意気込んだ。
 「棒しばり」で次郎冠者(じろうかじゃ)にふんする中村勘九郎(38)は「歌舞伎は客席とのキャッチボールが多い。大向こうがないとさびしいが、パワーを届けるしかない」。
 中村七之助(37)は「−吉野山」の静御前を演じる。「役者は舞台に立たないと何もできない。ちょっと遅い花見を楽しんでいただければ」と話した。

◆八月花形歌舞伎

 ◇第一部(午前11時開演)「連獅子」片岡愛之助、中村壱太郎、中村橋之助、中村歌之助
 ◇第二部(午後1時45分開演)「棒しばり」中村勘九郎、坂東巳之助、中村扇雀
 ◇第三部(同4時15分開演)「義経千本桜 吉野山」市川猿之助、市川猿弥、中村七之助
 ◇第四部(同7時開演)「与話情浮名横櫛 源氏店」松本幸四郎、中村児太郎、片岡亀蔵、市川中車、坂東弥十郎
 公演は1〜26日(7、17日は休演)。チケットホン松竹=(電)0570・000・489。

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