屋形船約50隻、医療従事者に感謝の灯火 「東京の夜景を守りたい」 逆風の中、思い込め

2020年7月25日 05時50分

医療従事者らへの敬意と感謝の気持ちを込め、お台場に集まった屋形船。後方は青くライトアップされたレインボーブリッジ=24日、東京都港区で(佐藤哲紀撮影)

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、東京都内36の船宿でつくる「屋形船東京都協同組合」は24日夜、港区のお台場海浜公園近くの海上に屋形船約50隻を集め、医療従事者への感謝を込めて提灯の一部を青色に点灯した。業界では客のコロナ感染が確認され、政府の観光支援事業「Go To トラベル」の対象から東京が除外されるなど逆風が吹く。担当者は「屋形船が海上を照らす東京の夜景を守りたいという思いも込めた」と話す。(天田優里)

◆幻想的な光がお台場の海面を照らす

 曇天の24日午後7時前。船首の一部に青い提灯を付けた約50隻の屋形船がお台場に集まった。業界では「屋形船銀座」と呼ばれる場所で、集まった屋形船の提灯が海面を照らす。この日も夜のとばりが下りると、30分間にわたって青色を含む色とりどりの光が辺りを照らす幻想的な光景が広がった。
 船には客を乗せず、見物客の密集を避けるため事前告知もしなかったが、居合わせた足立区の女性会社員(43)は「すてきな取り組みで、心が温かくなった」とほほ笑んだ。
 同組合メンバーで船宿「三浦屋」(台東区)8代目の新倉雅隆さん(37)は「本来なら24日は東京五輪の開会式だった。少しでも前向きな気持ちになれるように何かやろうと思った」と話す。組合はこれまで医療従事者に天丼を贈るなどしてきたが、一斉のライトアップは初めてという。

◆風評で存続の危機…でも

 通常なら屋形船業界にとって夏場は書き入れ時だが、2月に利用客のコロナ感染が確認されて以降、「屋形船は危ない」という風評に悩まされてきた。
 緊急事態宣言解除後、6月から予約が入り始めて少しずつ上向いていたが、感染の再拡大でまたキャンセルが出始めるなど状況は厳しい。利用客の激減で屋形船銀座に集まる船はまばらになり、江戸時代から続く「東京の夜景」の存続が危ぶまれている。
 新倉さんは「換気や検温、消毒などの対策はきちんとやっているが、再びの逆風で先行きが見通せなくなっている」と不安を口にする一方で、「日々奮闘している医療従事者の方に感謝を伝えつつ、これからも屋形船文化を守っていきたい」と、東京湾を照らす光に希望を託した。

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