江戸前支えた浦安漁法 研究成果本に208種類 東邦大OB団体と市郷土博物館

2020年7月25日 07時29分

「浦安の漁撈用具」シリーズ3冊を刊行した(左から)西野洋一さん、栗山堯男さん、中西一善さん=いずれも浦安市郷土博物館で

 かつて漁師町だった浦安の漁業で使われてきた漁撈(ぎょろう)用具を、約半世紀にわたって収集・研究してきた「漁村文化研究会」と、浦安市郷土博物館が「浦安の漁撈用具3〜浦安の漁法一覧・海苔(のり)網・延縄(はえなわ)〜」(A4判、百十二ページ)を出版した。これまでの調査で、浦安で行われていた漁法は計二百八種類にもなることが分かったと紹介。漁師たちは漁法や漁具などを工夫しながら、「江戸前の食文化」を支えていたことがうかがわれる内容となっている。(保母哲)
 博物館には、同研究会が二〇一六年に寄贈した漁業関係の資料六百五十点が保管されている。研究会メンバーはこれまで、漁具などの資料収集や研究、漁業に携わってきた人たちへの聞き取りを続けてきた。
 その研究会が発足したのは一九七一年。この年、海面埋め立てで浦安沖の漁業権が放棄されたため、「失われていく漁村の実態や町民文化の研究を」と、東邦大学習志野キャンパス(船橋市)のゼミ生らでつくる「漁村問題調査研究自主ゼミナール」が活動を始めた。
 学生らは大学卒業後も、浦安に足を運んで研究を続行。九二年に現在名の研究会へと名称変更した。活動は一時中断したが、船橋市の漁業集落の調査なども依頼された。こうした研究活動が認められ、一七年度に浦安市教育功労賞、一九年度には県文化財保護協会の文化財保護功労賞が贈られている。

ノリ漁に使われていた網を広げる3人

 今回刊行した「浦安の漁撈用具3」では、二百八種類の漁法のほか、ノリ網の構造や素材、延縄漁の漁具などを写真を交えて紹介した。約半世紀にわたって調査を続けている会長の栗山堯男(あきお)さん(74)=川崎市中原区=や、メンバーの中西一善さん(71)=東京都世田谷区、西野洋一さん(69)=同台東区=は「好きだから続けられた」と口をそろえる。
 平成時代までに計二百八種類もの漁法が生まれた理由として、栗山さんらは「魚介類の種類のほか、大きさ、数量、時期など、注文に応じた漁をするためだった」と説明。「浦安は江戸・東京に近く、良い漁場に恵まれたことも大きかった」と考えている。
 研究成果はこれまで、郷土博物館が調査報告「浦安の漁撈用具」シリーズとして刊行。一七年に「漁村文化研究会寄贈資料目録」、一八年には「海苔網製作具と餌掘り用具」=いずれもサブタイトル=として、その成果をまとめた。
 今回の三冊目は八百円。同博物館=電047(305)4300=のミュージアムショップで販売している。

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