世界遺産のバイカル湖が生態系の危機 森林伐採できる法律、ロシアで成立

2020年7月25日 12時42分

バイカル湖に生息するバイカルアザラシ=ロシア天然資源環境省提供(S・シチコフ氏撮影)

 【モスクワ=小柳悠志】世界自然遺産に登録されているロシア・バイカル湖周辺の森林伐採を可能にする法律が24日、ロシアで成立した。淡水性のアザラシなど湖の生態系や、景観を損なう可能性がある。インタファクス通信は、世界遺産の価値を失い「危機遺産リスト」に移される恐れがあるとの専門家の見解を報じている。
 シベリア鉄道などの拡幅工事を進める狙いで政府が法案を提案。ペスコフ大統領報道官は23日、「環境保護も大切だが、経済発展を妨げてはいけない」と述べ、翌24日には上院が可決した。
 国連教育科学文化機関(ユネスコ)は、世界遺産が所在する国の法律による永続的な管理・保全を求めているが、周辺は今後、自然保護区域の指定が解除される。道路建設などが可能になり、森林喪失のほか、工事で使う燃料油が湖面に流入する事故も懸念される。
 国際環境団体グリーンピースのミハイル・クレイドリン氏は「今回の法律は世界遺産の登録条件に違反し、環境に与える影響も甚大だ」と本紙に語った。
 ユネスコによるとバイカル湖の水量は地球の地表にある淡水の2割に相当し、最大水深は1700メートル。約700もの固有種の動物が生息することから「ロシアのガラパゴス島」の異称もある。1996年に世界遺産に登録され、日本人観光客も多く訪れる。

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