アジアの国からも感染対策学べ 東京都医師会・尾崎治夫会長
2020年7月26日 06時00分
<新型コロナインタビュー>
◆自分たちで危機感を発信
―東京都医師会は4月6日、独自の医療的緊急事態宣言を発表した。
医療機関は限界に近かったのに、3月中旬の3連休に浅草が観光客でにぎわっているのを見て焦った。3月以降、政府の対策は緩く、経済への影響を気にしてか緊急事態宣言も遅いと感じ、自分たちで危機感を発信するしかなかった。
―病床が不足した理由は。
当初は法的措置により陽性者全員の入院が原則だった。3月下旬には軽症者でベッドが埋まり、重症者が入院しづらい状況にあった。都は軽症者をホテルで療養させようとしたが、厚労省との調整に時間がかかり、4月7日からとなった。
◆保健所では満足な検査できず
―地域の診療所はどうだったか。
新型コロナが疑われる患者は私の診療所にも何人か来て、PCR検査を受ける必要があった。しかし、保健所に依頼すると、重症者でないと検査は難しいという反応で、満足な検査ができなかった。
―そこで4月に都内各地区の医師会と連携し、PCRセンターを作った。
業務過多になっていた保健所や、帰国者・接触者外来を通さずに検査できる仕組みを作った。現在30カ所以上にでき、かかりつけ医が認めれば検査ができるようになった。
◆検査・入院体制の拡充、重点的に
―検査の対象や範囲についてはどう考えるか。
やみくもに検査をやるのは反対。感染が疑われる人と、可能ならば濃厚接触者すべてにできるといい。唾液によるPCR検査も広がれば、診療所や車内で検体採取ができるようになるだろう。
―政府の対策への評価は。
(感染者集団を見つける)クラスター対策が悪いわけではないが、感染が拡大して限界を迎えた。韓国は大量検査と施設収容が一体となって対策が機能していた。欧米のまねはするが、アジアの国から学ぼうとしないのは日本のよくないところだ。クラスター対策のチームとは別に、検査と入院態勢の拡充に重点的に取り組むべきだった。 (聞き手・原田遼)
おざき・はるお 1951年生まれ。東京都出身。順天堂大医学部卒。東久留米医師会長を経て2015年から現職。おざき内科循環器科クリニック院長。
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