破格待遇の中国「千人計画」 経済スパイ疑い、米が集中捜査

2020年7月26日 06時00分

24日、米テキサス州ヒューストンの中国総領事館で、職員退去後に、中に入るためドアを開ける米連邦当局の職員ら=Godofredo Vasquez / Houston Chronicle・AP

 【ワシントン=岩田仲弘、北京=中沢穣】24日に閉鎖した南部テキサス州ヒューストンの中国総領事館について、トランプ米政権は、中国が科学技術の先端情報を違法収集するための一大拠点だったとみている。情報収集の手段として活用されたのが、中国政府肝いりの人材招致事業「千人計画」だ。米政府は、この事業に関わった研究者らが「経済スパイ」の役割を担い、高度な軍事・科学技術を盗み取ったとみて集中的に捜査してきた。

◆理工系1000人引き抜き計画

 「千人計画」は、世界レベルの理工系人材1000人を破格の待遇で国外から引き抜き、中国の経済発展に貢献させるのが狙いで、2008年から国家的なプロジェクトとして始まった。外国人を対象とした計画のほか、国外で活躍する中国人を呼び戻す取り組みもある。
 米司法省高官は記者団に対し、在ヒューストンの中国企業の子会社代表だった中国系科学者が、潜水艦に使われる技術を盗んだ事例を挙げ、「領事館員がどんな情報が必要か伝えて集めさせていた」と明かした。
 米連邦捜査局(FBI)のレイ長官は7日の講演で、この科学者が「千人計画」に応募し、「中国の国有企業のために、米国の関連技術を『消化』し『吸収』することを中国側に約束していた」と非難した。

◆総領事館「最悪の犯罪拠点」

 レイ氏は、南部オクラホマ州の米石油企業に勤務していた中国人研究者が10億ドル(約1060億円)相当の電池技術に関する企業秘密を盗んだケースも紹介。FBIによると、研究者は「親の世話をする」と称して会社を辞め、中国に帰国する前に犯行に及んだ。実際は千人計画に応募し、中国で電池材料を供給する企業に就職する予定だったという。オクラホマもヒューストン総領事館の管轄で、司法省高官は同総領事館を「最悪の犯罪拠点の一つだ」と断言した。
 さらにレイ氏は、「千人計画」を利用した経済スパイが全米で広がっていると指摘。天津大の中国人教授が無線技術を盗んだ事件では「米企業が20年以上かけて開発した技術を盗んだ」と訴えた。

◆「悪意ある中傷」中国は否定

 こうした米側の指摘に対し、中国外務省の汪文斌副報道局長は23日の定例記者会見で「(同総領事館は)国際法と当地の法律を順守し、両国の協力を推進してきた。(米側の指摘は)悪意ある中傷だ」とスパイ行為を否定した。

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